指摘され始めた米国政策ミス
欧州でも物価見通しを上方修正
昨日、欧州時間に入りEUの執行機関である欧州委員会から発表されたユーロ圏の物価見通しは、
2022年を昨年11月予想の+2.2%から+3.5%、
2023年も+1.4%から+1.7%へと上方修正されています。
米1月CPIの結果
米1月のCPIの結果は、前年同月比で+7.5%の上昇と依然として中央銀行であるFRBの目標である+2.0%をはるかに上回ったままで、物価の上昇を一過性では片づけられない状況となりました。
米国の10年債金利は2.052%へと上昇。政策金利の行方を反映する2年債金利では1.638%と、実に前日から27bp(0.27%)と信じられないような上昇を遂げています。
インフレは全く一過性のモノではなくなり、この段階に及んで米国ではテーパリングが行われ、依然として国債を買い入れる量的緩和を続けていることになります。
1月にバランスシート縮小の議論開始を発表しながら、テーパリングを継続した矛盾、引き締めが完全に後手に回った政策ミスまでも指摘され始めています。
米株を筆頭にリスク資産も崩れ始め、2018年2月の米国1月の雇用統計の後のような様相を呈してきました。
遭遇したことのない利上げ織り込み
Countdown to FOMCでみれば、3月FOMCでの50bp(0.50%)の利上げの織り込みが実に94.7%まで上昇、さらに5月まで100bp(1.00%)も同21.5%まで急上昇しています。
筆者の30数年の経験のなかではかつて遭遇したことのない利上げの織り込みで、政策対応が完全に後手に回ったことを意味するのかもしれません。
アトランタ連銀が公開するGDPナウでみれば、この先のGDP予想は2/7時点で+0.7%と成長は鈍化。物価上昇と景気の後退が同時に押し寄せるスタグフレーションの可能性すらあります。
このCPIの結果を受け、今晩の米国市場が平静を取り戻すか、荒れるか注目ですが、後者となると、見通しをリスクオフ方向に修正しないといけないかもしれません。
現状を2018年と対比
蛇足ですが、2018年の2月2日、米雇用統計の平均時給が上振れ、金利上昇、米株総崩れ、しかし、USDJPYは110円台をしっかり回復していました。
リスクオフの波が為替市場に押し寄せたのは、週明けの2月5日からでUSDJPYがこの金曜に持ちこたえたのは「指し値オペの影響が大」との生々しい記載が、過去に配信した内容にありました。
2018-02-05 配信のメルマガSmartLogicFXより
週明け5日のウェリントン、シドニー市場は前週末比でギャップ等はほとんど無く、前週末引値付近で推移しています。先週金曜の動きでやや不可解だったのはUSDJPYの動き、米株が急落を演じるなかで、終始ビッドトーンで推移し110.48の高値を示現しています。
リスクオフ、リスクアバースの意味は「既存の収益を積極的に追求したポジションの巻き戻しですから、金曜のUSDJPYの動きはこれにやや逆行する動きとも言えます。
理由としては「指し値オペ」の影響が大ですが、それ以外でも短期筋中心のショートが溜まっていたことがあげられます。時間の経過と共にJPY買いの動き再発と考えています。
4年も経過しますと、市場環境は大きく変化するものですが、当時も「指し値オペ」という半ば時代遅れ的な政策を取っていたのだと思い起こさせます。
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