金利上昇や利上げの織り込みはドル高に直結せず
米国の引き締め前倒し
先週金曜発表の米12月の雇用統計で失業率が3.9%まで低下、年内の完全雇用への道筋がみえてきたことで、先週末、グローバル金融大手が相次いで利上げの前倒し予想を発表しています。
ゴールドマンサックス、JPモルガン、ドイツ銀行などが米国の最初の利上げを3月に前倒し、さらに年4回の利上げを予想する声も増え始めてきました。
昨日は欧米時間に入り、米10年債金利が約2年ぶりに1.8%の大台乗せ、利上げの織り込みも再び加速し始め、年内のFRBのバランスシート縮小(資産圧縮)も視野に入り始めています。
ウクライナ情勢
まず、ウクライナ情勢をめぐり、米露の2国間安全保障協議がジュネーブで開催され、警戒感から地域的に近いユーロが先行して売られ、EURUSDで昨日安値1.1285を示現しました。
想定よりかなり早い米国の引き締めが迫り金利が上昇、リスク資産である株式を手放す動きからダウは寄付きから売りが先行、ザラバでの下げ幅を一時590ドルまで拡大しました。
為替市場ではリスク回避の動きから、USDJPYやクロス円が売られ、前者で昨日安値115.05、AUDJPYでも同82.33、NZDJPYでも同77.59を示現しています。
こうした一連の動きのなかで、IMF(国際通貨基金)より、FRBの想定より早い利上げで金融市場の混乱や新興国からの資金流失に警鐘を鳴らしたことも警戒色を濃くしています。
米露の2国間安全保障協議は、協議は8時間に及び、今後も協議継続と一定の成果を収めたとする報道が大半を占めているようです。
リスク回避の動きがやや収束
昨日中盤からはリスク回避の動きがやや収束。金利は反転低下、ダウは下げ幅を急速に縮小、為替市場では先行して売られたユーロやクロス円が買い戻されました。
この動きのなかで、地政学リスクの後退から永世中立国のスイスの通貨スイスフランが急速に売り戻され、EURCHFで昨年11/24以来の高値1.0503を示現しています。
急速に強まる米国の引き締めの前倒し、USDJPYが反落してきたように、金利の上昇や利上げの織り込みがドル高に直結していません。
USDJPYの昨日の安値は115.05、昨年末の引けが115.10付近ですから、年始の上げを一旦全て失ってしまったことになります。
本日はパウエル議長の再任指名承認公聴会に注目
さて、ここからの展開ですが、今週の展望のなかで申し上げた通り、今晩はFRBパウエル議長の再任指名承認公聴会が上院銀行委員会で開催予定です。
おそらく超党派を超えて議員よりインフレ加速に対し問いただされることになり、転んでも「緩和継続」的な文言が飛び出す可能性はほぼ皆無でしょう。
すると注目になるのが金融市場の反応、やはり金利は上昇でしょうが、流石に正常化を好感して株に買いが入るという展開は予想しづらく、むしろ昨日と同じリスクオフ的な動きでしょう。
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