ノード・ストリーム2とは?
ノード・ストリーム 2
画像引用元:ノードストリーム運営会社
ノード・ストリーム 2とはバルト海の海底を経由しロシアとドイツをつなぐ全長約1,200キロメートルの天然ガス用パイプライン「ノード・ストリーム」(2011年稼働開始)とほぼ並行して施設される第2号天然ガス用パイプラインのことである。運営会社の「ノルド・ストリーム2AG」はロシアの国営天然ガス企業「ガスプロム」の子会社で、スイスに本拠を置く。
2012年のノード・ストリーム第一号本格稼働後においても、EUとして20年間で天然ガス需給ギャップが約1,200億立方メートルに拡大する見込みであったこと。一方で、世界最大のガス埋蔵量(47兆立方メートル)を誇るロシアの膨大なガス供給量は、年間1,000億立方メートルを超える余剰があると見込まれたことから、第2号の建設が計画され、2021年10月に完成している。
当初計画では2019年に完成する予定であったが、米国が「ドイツはロシアのエネルギーへの依存を高める結果となり、欧州の安全問題にも深刻な影響が出てくる」と訴え計画当初より強く反対。「ノード・ストリーム2」の建設に西側企業が参加することを禁じる制裁を発動するなどの影響で完成が遅れた。現在ドイツ国内の認可手続きが中断されており年内の稼働は困難との見方が強い。
画像引用元:ノードストリーム運営会社
全長約1,200キロメートル、最大流量550億立方メートルのノード・ストリーム 2の稼働により輸送される天然ガスはドイツの全電力の3割をカバーできると言われている。運営会社の試算によると、使用する技術にもよるが、ガス火力発電所のCO2排出量は、石炭火力発電所よりも約50パーセント少ないため、ノード・ストリーム2が輸送する55bcmのガスは、約1億6000万トンのCO2を削減することができるとのこと。これは、石炭の代わりにガスを使用した場合、EUの発電による総排出量の14%に相当し、年間平均自動車約3,000万台分の排出量に相当する。
また、経営コンサルタント会社アーサー・D・リトルが実施した市場・経済影響調査によると、現在のノード・ストリーム2への出資による経済効果は99億ユーロを超え、5年間で5万7,000人の正規雇用を創出し、GDPを47億ユーロ押し上げる見込み。 これらのプラス効果は、ロシア、ドイツ、フィンランド、スウェーデンなど、バルト海周辺でプロジェクト活動を行っている国や、オランダ、イギリス、ノルウェー、イタリアなど、陸上のガス産業に従事している国で期待されているとのこと。