ア-ト思考を仕事で活用
アート思考の基本は本質を知る
先日、対談で「デジタルアートと隕石の交換についてどう思うか」と聞かれた瞬間から「価値の交換」や「価値」という視点で世の中を見た時に多くの分野を統括的に解説できることに気づきました。
価値の視点で統括的に解説できること
お金
投資
暗号資産(仮想通貨)
アート
アート思考
人の本質
使命
帝王学
企業
イノベーション
「価値」の切り口でアート思考を独自視点で解説していきたいと思います。
今回はアート思考の第2弾です。まず、第1弾をお読みいただいた上で、本記事をお読みいただければと思います。第1弾も読みやすいですが、かなり深いことを書きました。
https://real-int.jp/articles/1015/
本質を知ることに大きな価値がある
アート思考は価値を生み出す思考です。
アート思考にはいろいろな考え方がありますが、個人的にはアート思考の基本の1つは「本質を知る」ことだと思います。
本質を知るとは「意味」と「価値」を知ることです。
本質を知る、つまり意味と価値が分かっていることが、価値を生み出す思考の基本だからです。
本質を知ることで世の中を良い方向に本質的に変革していくことが可能になります。
本質を知ることに大きな価値があるのです。
レオナルド・ダ・ヴィンチはアーティストの最高峰
アート思考には、さまざまな考え方や解釈がありますが、個人的に分かりやすい視点として「レオナルド・ダ・ヴィンチ Leonardo Da Vinciの思考」があります。アーティストの最高峰の一人がレオナルド・ダ・ヴィンチだと思います。
「飽くなき探究心」と「尽きることのない独創性」を兼ね備えた人物といわれています。
レオナルド・ダ・ヴィンチは「モナリザ The Mona Lisa」や「最後の晩餐 The Last Supper」を描いた有名なアーティストというだけではなく好奇心旺盛で、さまざまな分野の研究をした上で、その表現物の一つが「モナリザ」や「最後の晩餐」でした。
ダ・ヴィンチは目に見えるものを全て把握するという視点で自然界を徹底的に観察、考察しました。
人体を解剖して大量のスケッチをし、筋肉や骨格などの構造を理解した上で「モナリザ」を何年もかけて描きました。人を描くために皮膚の下の構造まで理解し、人の構造の本質を理解して描いたのです。
目に見える部分だけではなく、目に見えない部分の理解が傑作を生みだしました。
レオナルド・ダ・ヴィンチは哲学者でもあり、人相学も研究していたので「モナリザ」の微笑みは物質的以上に人の心理までも描き込んでいます。
ルーヴル美術館HPから
leonardodavinci.net より
ヘリコプター・飛行機・戦車も創り出す
発明の基本はアート思考です。
レオナルド・ダ・ヴィンチは自然界のあらゆる分野を研究しました。ヘリコプター・飛行機・戦車が登場する遥か前から、それらのスケッチを描いていたくらいです。
後世の人たちの中にはレオナルド・ダ・ヴィンチのスケッチを見たことでインスパイアーされ発明できたケースもありそうです。
レオナルド・ダ・ヴィンチは創造力の豊かさで突出した発明家でもあったのです。
発明は新しい価値を創造するアート思考です。
leonardodavinci.net より
leonardodavinci.net より
leonardodavinci.net より
leonardodavinci.net より
マーケティングとアート思考
アート思考は革新的な商品を生み出します。
一般に製品開発をする時にユーザーの声を聞き、優れた製品を作るマーケティングをします。
顧客は今までの延長線上で何か欲しいかを提案します。
結果的に携帯電話はボタンだらけになり、ほとんどの人が使わない機能満載の商品が出来上がります。使い勝手がどんどん悪くなり、デザイン的にも美しいといえなくなっていきます。
Apple社はiPhoneなどの開発時に、それまでのマーケティングの考え方とは反対に、今まで顧客が思いもつかなった革新的なものを創りだすというスタンスなので顧客に聞くことはありません。
これは本質の理解や、強烈なコンセプトが必要なアート思考です。
新しい価値の創造です。
ブランドは世界観を創る
アート思考は世界観を大事にします。
ハイブランドの商品には、カッコ良いロゴが入っています。
そしてお店のドアにはブラックスーツを着たドアマンが立ち、高級な世界観を演出しています。
世界観を追求し、ブランドに意味と価値を与えるのです。価値の創造です。
商品を売るというより、世界観を売っているといってよいでしょう。
ブランド品を身に着けることで高揚感を持つことができるのは、商品に世界観がついてくるからです。高揚感を持つために高い価格がついているともいえます。
フォントが世界観を創る
アート思考は言葉や文字に現れます。
ルイ・ヴィトンのロゴはFutura(フーツラ)というフォントを使っています。
Futuraはギリシャのパルテノン神殿など古代ローマの建造物などに刻まれている碑文からアレンジされてできたフォントです。
威厳の歴史と高級感と優美さとを感じさせる最高のロゴの一つといわれており、ハイブランドのロゴに使われています。
iPhoneロゴの意味と価値
アート思考は細部にも宿ります。
「iPhone」という言葉や文字の使い方もアート思考的です。二番目の文字だけ大文字にすることで、その表記がロゴっぽくなるからです。
最初のⅰの意味は internetなどの意味がありますが、暗に「 I. Robot 」のように「私は」という意味になっていると思います。 Siriも搭載され人格を持ち始めています。
そして普通に文字を並べるだけで、ロゴとして認識できるのです。
「iPhone」ではなく「Iphone」「IPHONE」では全く印象が違います。
普通に使うフォントの大文字小文字の使い方だけで、ロゴに意味と価値を与えています。
(最初、スティーブ・ジョブズはこの表記が嫌だったようです)
同様に弊社のロゴ「FPnet」も「Fpnet」「FPNET」だと、意味も価値も変わってきます。
iPhoneの日本語表記「アイフォン」は日本のインターフォンメーカー「アイホン社」が商標登録を取得していたのでApple社は商標使用料を払っています。日本では、 iPhone発売のはるか前からアイフォンの商標登録がされていたのです。
BALENCIAGAはロゴのデザイン性を捨てた
常識を捨てること、過去を否定することもアート思考です。
ブランドにとってもデザイナーにとっても、ロゴのフォントには極めてこだわりが強いですが、バレンシアガは反対にデザインのこだわりを捨てました。
インフルエンサーがInstagramなどのSNSで商品情報を拡散する時、スマホ端末などに搭載されているフォントでブランド名を記載するために、実際のロゴとの乖離を生み出すことになりました。
そこで、バレンシアガはインフルエンサーが拡散するロゴと実際のロゴのイメージが変わらないように自社のロゴをiPhoneなどに元々入っているフォント「サンセリフ体」に変えたのです。
こうすることで、一般ユーザーが表示するロゴ記載が、そのまま正規のロゴに近づけることが可能になりました。
デザイン性を捨てるには勇気が必要だったと思いますが、それを実際に実行したことが凄いと思います。
デザイン性の高いものを創りあげるのではなく、ロゴの意味と価値(本質)を見極め、時代に合わせてデザイン性を捨てるのもアート思考です。
上が旧ロゴで下が新ロゴです。個人的には上の旧ロゴの方が風格があるので好きです。
バランス感覚
アート思考ではバランス感覚も大切です。
ファッションの世界では、他の人たちと同じような服を着ていたらお洒落とは言いません。しかし、極端に奇抜すぎる服だとお洒落とは違う世界に入っていきます。
バランスが大切です。
バランスには融合という視点もあります。
たとえば、次のような融合のケースがあります。
フォーマルとカジュアルの融合
フォーマルとスポーツの融合
西洋と東洋の融合
融合は2つの異なるものをバランスさせることです。
「デザインの本質」と「広告の本質」のバランスを考えて、時代に合わせてバランスを変えたのがバレンシアガのロゴです。
ビジネスにアート思考を持ち込む時にバランスは大切です。
本質を理解し、何を優先させるのかの判断もアート思考だと考えます。
本質の欠落に注意
アート思考をビジネスに適用するには注意点があります。
ビジネスの世界では問題解決のためにアート思考を使おうとします。
仕事では問題解決をするために、どうしたらよいかという視点で頭を使うからです。
しかし、アート思考は、目先の問題解決のために使おうとすると的外れになりやすいです。
なぜならば、アート思考の基本は本質なので、
目先の対処療法的な問題解決ではなく
全体的な抜本的改革から思考がスタートすることが多いからです。
結果的に問題解決になることもあるでしょうが、もっと本質的な部分から考えることになります。小手先の解決法より、ビジネスモデルの革新やイノベーションなどで、結果的に解決するイメージです。
特に日本人の場合、目的を見失ってしまったり、本質が抜けてしまうことが多いので注意が必要です。
たとえば「志が大事」という話題で盛り上がっても、肝心な「どのような志が大事か」については全く触れないし、触れないことに誰も違和感を持たないようなことがあります。
本質が欠落していることが当たり前の世界になっているため、本質が欠落していても気づかないのです。
本質が欠落している分野では「アート思考が使えない」という評価になりかねません。
自分の創造力を最大に発揮する秘訣
創造性を発揮することはアート思考です。
レオナルド・ダ・ヴィンチと比べるのは酷ですが、自分の性格・才能・役割を理解し、活用することで、自分の創造力を最大に発揮することが可能です。
そして、自分が興味を持つ分野で本質の理解を深めることが大事です。
1つの分野の本質が分かると他分野の本質も分かってくるからです。
アーティストは良い未来を思い描く力をもっていることが強みです。
アーティストと呼ばれる人には大きく分けて2種類いらっしゃると思います。
・言われたものを作る職人タイプ
・本質を理解した上で創り出すクリエイタータイプ
アーティストがアート思考とは限りませんが、
一般のビジネスマンや研究者にアート思考の人がいらっしゃいます。
アート思考の人は仕事を楽しんでいる人だといってもよさそうです。
自分の性格・才能・役割を理解し、活用し、自分の創造力を最大に発揮することは極めて楽しいことだからです。働き方改革にもなります。
「働き方改革」は時短に目を向けていることで的外れに陥っていますが、性格・才能・役割を理解し、活用し、創造力を発揮することが一番の「働き方改革」です。
普段から「なぜ」と考える
アート思考の基本は本質を理解することです。
本質を理解することに大きな価値があります。
レオナルド・ダ・ヴィンチのやってきたことは本質を理解することです。
本質を理解するとは、意味と価値を理解することです。
本質を理解するには、普段から「なぜ」と考えていなければわかりません。
常に「なぜ」と考える習慣が本質の理解に欠かせないからです。
皆が言っていることや権威が言っていることを鵜呑みにしていると本質は分かりません。
アート思考は常識を否定することでもあります。
一番大切な本質とは
アート思考は本質を知ることからスタートですが
最初に知らないといけない、一番大切な本質は次の2つです。
① 人の本質(人とはどのような存在なのか・人類共通)
② 自分の本質(自分はどのような存在なのか=使命)
自分の存在の意味と価値を知ることが根源的に大切です。
人の本質「人とはどのような存在なのか」は次の3つの要素になります。
人の本質(人とはどのような存在なのか?)
①愛されている存在(愛が動機・最高の動機)
②存在だけで価値がある(最高傑作・最高のセルフイメージ)
③人生の目的は世の中を本質的に良い方向に変革すること(最高の目的)
「人の本質」と「自分の本質」の理解されていないと
ものごとの本質が分からなかったり
承認欲求が生まれたり
他人の意見に流されたり
マインドコントロールされてしまいます。
人の本質が分かると動機は愛になります。
人の成功は動機で決まります。
愛が最高の動機です。
愛が動機であれば、高い価値を生み出します。
承認欲求が動機であれば真に高い価値を生み出すことができません。
強みを掛け合わせる
ア-ト思考は自分の強みを活用します。
レオナルド・ダ・ヴィンチのように天才でなくても、人の本質と自分の本質を理解することで革新的なものを生み出すことは可能です。
自分の強み、得意なこと、できることを掛け合わせるのです。
中国語ができてコンプラが得意となれば、優位性がでます。
WEBデザイナーもセンスが良いだけではなく
マーケティングも分かり
サービスマークなど法的なところも分かると
希少性が高くなり仕事の報酬もあがります。
綺麗なサイトを作るデザイナーが多くても
売れるサイトを作るデザイナーは極端に少ないからです。
さらにいえば、デザインができて、データ処理ができれば
データビジュアライゼーション(data visualization)の仕事が可能です。
これはビックデータ活用法のひとつで、膨大で複雑なデータをグラフや図で分かりやすく表現する技術であり、一般にいわれる「見える化」「可視化」を自動的に行うものです。
この分野のデザイナーが不足しています。
ライバルがいないブルーオーシャンを狙うには
誰もやっていないことをやること
それには、旬な分野を狙うことです。
つまり、自分で限界だと思っていることは、
自分の才能が低いのではなく、
自分ができることと
世の中の旬が見えていないことである可能性が高いです。
反対に見える要素の掛け合わせ
アート思考は一見正反対のことを融合します。
強みを掛け合わせることは大事ですが、反対に見える要素を掛け合わせすることで競合のいない独自の強みを発揮することが可能になります。
反対に見える資質を掛け合わせる
格調高いけど、親しみやすい
高い視点を持つが、細かい点にも目が届く
素直だけど、豪快
ロジカルだけど、情熱的
開拓者だけど、繊細
深い本質を分かりやすく解説
論理的と直感的を両方使う
自分の意見に自信があるが、他人の意見をしっかり聞く
正確で、スピーディ
誠実で正直で、セールス力がある
お笑いキャラクターだけど、真理を語る
反対に見える資質だけではなく
反対に見える要素を合わせた商品もあります。
反対に見えるものを組み合わせ商品
タンニンがあって濃いけどフルーティーなワイン
簡単に読めるけど深い本
食べやすいけど味わい深い食べ物
スポーティーだけど実用的な自動車
馬力があるけど燃費が良い自動車
雨が待ち遠しくなるレインコート
笑ってしまうほど面白いけど勉強になるセミナー
意外性があるものを掛け合わせることが大事だということです。
自己紹介にも、意外性を混ぜることで、覚えてもらえることになります。
意外性があればあるほど優位性が高くなります。
「以前は、半導体の材料の開発をしていましたが、今は、その時の微量の不純物が画期的に性能向上する経験を生かして、普段は使わない微量のわさびなどを隠し味にしてフランス料理のシェフをやっています。」
オリジナルのカテゴリーを作ることにもなります。
アート思考で考えていくとチャンスは無限に広がっていきます。
さらに世の中を良い方向に本質的に変革していくことを目的にすることで、日本と世界の未来がどんどん明るくなっていきます。
■関連記事
アート思考の深堀りは、かなり面白く止まりませんが、今回はここまでにします。
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参考図書
ビジネスと人生に飛躍をもたらす使命の本質(幻冬舎)
https://www.real-mission.com/amazon1/
leonardodavinci.net より