多面的見方で考えるトレード重要ポイント
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
トレードも方向性と判断基準が大事
コロナウイルスの、政府の対応が場当たり的だという批判がありますが、いろんな立場の人が様々な意見を言うので、方向性や判断基準が定まっていないように見えるのでしょう。方向性と判断基準が大事なのはトレーディングでも同じです。
ニュースに反応して買ったり売ったり、噂で買ったり売ったり、マーケットの意見に流されたり、判断基準を持たない人は、場当たり的なトレードにならざるを得ません。
なぜ、場当たり的対応となるのでしょうか。それは数値による判断基準がないか、判断基準に裁量判断の余地があるからです。
こうなると、基準が不明確なら、何でもアリになり、その後に検証することもできません。判断基準があっても、それに従って実行しなければ、検証の対象になりません。
そして、検証できなければ、何が効果があり、何が無意味なのかがわかりません。結果、何が使えて、何が使い物にならないのかが、わからなくなります。
数字に基づけばすべての問題が解決するわけではありませんが、少なくとも事実の数字を重視し、明確な判断基準を持てば、現実の変化に対応するシナリオを準備できます。
そしてシナリオや対応が正しかったか悪かったかを検証することもできます。こうした数値による分析は企業経営では日常的に行われていることです。だから企業経営では数字が重視されます。
投資も企業経営もコロナ対応も問題解決のアプローチは同じではないでしょうか。
場当たりなトレーディングにならないためには、数値を読み解く知識と、それに基づく明確な判断基準が大事なのだと思います。
時間軸を示さない情報に騙されてはいけない
2021/7/5に配信された、yahooニュースのオリジナルインタビュー「RED Chair」に秋元康さんが出ていました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/fe57358269f67af9d86b8a2c321db5303bc7bdd2
32分の動画でいろいろ語る中で、私たち投資家と関連しそうなこともありました。それは「大衆」というものです。
投資の世界では、「愚かな大衆」とか、「大衆は間違う」というような使われ方をしますが、テレビの世界も同じようです。
秋元さんが言うには、企画側、制作側は、「大衆には」というように上から目線で番組を提供したり、企画を考えたりしますが、自分もその大衆の一人だと忘れがちだということでした。そして、こうなると上手くいかない、というようなことでした。
私は、投資において多数派の動きに従うのが儲かる方法と考えていますが、この多数派も、大衆も、要するに「時間軸をどう考えているか」ということの違いでしかありません。
つまり時間軸が違うから、「大衆は間違う」となるわけです。値動きの初動では、大衆は間違っているかもしれませんが、大衆を巻き込んで大きな動きになるから相場は大きく動いて利益を取るチャンスを与えてくれます。
つまりは値動きのタイミング、時間軸をどこで切り取るか、と言う問題でしかありません。だから、時間軸を示すことが大切なのです。逆に時間軸を示さない情報は、上から目線の勝手な思い込みで説得力はありません。
どの時間軸の多数派に従うのがいいのか、どの時間軸の大衆が愚かなのか、という説明がない情報は、時間軸を示さずにドル円は200円になるとか、50円になるとかいう無責任な相場予想と何ら変わりません。
デイトレやスイングで取引する人が、1年後の動きを考えても全く意味がありません。時間軸が合っていない情報には何の価値もないのです。
ということは、私たちが投資情報を受け取る際には、発言者がどの時間軸で言っているのかを確かめる必要がある、ということです。
だから、投資においては常に時間軸の視点を持ち、時間軸を示さない情報に騙されないことが投資情報を活用する上で大事なのだと考えています。