くすぶるロシアのドル離れ、中銀の外貨準備
※2021/06/08の06:41にSmartLogicFX で配信した内容から抜粋しています。
ロシア政府系ファンドのドル資産離れ
先週金融市場で話題となったロシア政府系ファンドのドル資産離れですが、引き続きくすぶり続けています。
政府系ファンドであるSWF(ソブリン・ウエルス・ファンド)の資金シフトはすでに申し上げた通りで、資金シフトが終わってしまえばその後はほぼ影響なしです。
ただ、日々発生する、資金授受、いわば決済をドル建てからユーロ建てに一部変更するだけで大きなユーロの需要を生むことになります。
昨晩は、ロシアの財務省筋より「ロシア企業のドル使用を禁止することはないが、あくまで経済政策の一環だ」としながらもネット上には、ユーロの使用を勧める報道もあります。
すでにプーチン大統領は、米国に対し「制裁の道具にドルを使うな」との公式見解を出しています。さらに、ロシア製の原油を輸出するドイツなどに対しても「ユーロ建て」での支払いを求めています。
かつて、第2次大戦までの基軸通貨がポンドであったように、基軸通貨には「圧倒的な軍事力」が必要条件です。
こうした背景から、現在の基軸通貨ドルの立ち位置に変化はないでしょうが、市場での決済のユーロ建てが増えてくると、事情は異なります。
昨日は、週明けの月曜でもあり、今週はこの先に米CPIやECB理事会を控え、ほとんどニュース等はありませんでした。調べていくうちに、今朝はこのロシアやユーロ決済関連のニュースが多いためこちらに記載させていただきました。
上述のユーロシフトは今日明日どうなる類のものではありませんが、中長期的な資金シフトが為替市場の水準を決めるのは事実です。
中銀の外貨準備
通貨ユーロが導入された1999年、世界の中銀の外貨準備に占めるユーロの比率は、わずかに18.12%、それが2009年には27.98%まで拡大しました。
その後は、金利がつかなくなったこともあり、急低下、2015年には再び19.13%まで低下しています。
中銀がユーロの水準を1%調整するだけで、そこには想像を絶する資金シフトが発生します。
6/3の SmartLogicFX ではドイツの「スーパーサイクル」の終わりを取り上げましたが、欧州に金利が戻るなら、上述のユーロシフトは現実的な動きともいえます。
動画でも詳しく解説していますので、ご覧ください。
「くすぶるロシアのドル離れユーロシフト」