FXの順張りはトレードの基本!トレンドを見極めてエントリーするには?
今回のポイント!
- 順張りはFX初心者のみならず大多数のトレーダーにおすすめ
- 順張りに必須なのがトレンド判定ルール
- 3つの順張りのエントリータイミングを覚えよう
FXの順張りとは?
順張りとは、相場のトレンドの流れと同じ方向にトレードする方法です。つまり、
- 上昇トレンド中に、上昇が続くと予測して、買いのポジションを持つ
- 下降トレンド中に、下降が続くと予想して、売りのポジションを持つ
という方法が順張りです。
順張りは「トレンドは継続しやすい」という相場の性質を利用した手法です。もしトレンドが長く続けば、ポジションを持ち続けることで大きな利益を得られます。また、何度もトレードをする場合も、トレンド方向のほうが、勝率が高くなりやすいことがメリットです。
順張りの逆が逆張りという手法です。上昇トレンド中に売りエントリー、下落トレンド中に買いエントリーを行います。
FXの順張りでトレードするメリットとデメリット
ここでは順張りでトレードするメリットとデメリットを、それぞれ3つに分けて解説します。
順張りでトレードする場合のメリット
多くのトレーダーに順張りトレードが向いている、と言われる理由はどこにあるのでしょうか。
トレンドに乗って大きな利益を狙える
「車は急に止まれない」という看板をたまに見ますが、相場にも、この当たり前の法則があてはまります。いったんトレンドが出ると継続する性質を持っているため、反転するまで持ち続けることで大きな利益を得られます。
また、トレンドは加速するという性質も持っており、トレンドに勢いが出ると、大衆を巻き込んでの総楽観、総悲観で終わる傾向があります。順張りポジションを持っていれば、ときに大底・天井に遭遇することがあり、予想外の大きな利益を得られます。
初心者でもエントリーのタイミングが掴みやすい
順張りとは、後出しジャンケンのようなものであり、競馬でいえば本命に掛けるようなものといえます。できたトレンドに後から参加するので、基本的には好きな時間軸・好きなトリガーでエントリーできます。また、多少タイミングがずれて逆行しても、最終的に勝ちトレードで終われる確率が高いことが特徴です。
決済注文のタイミングがわかりやすい
V字回復、逆V字回復によるトレンド転換はまれです。上昇トレンドなら、勢いがなくなってやがて上げ止まり、それから下落することが多いでしょう。先っぽで順張りしていない限り、横ばいになるか逆方向に動いたのを確認してから決済しても、利益は残ります。
順張りでトレードする場合のデメリット
順張りでトレードするデメリットとは何でしょうか。
高値、安値つかみになりやすい
どんなに強いトレンドも必ず終わります。投資初心者の場合、トレンド終盤で勇んで腰を上げ、最後の「ババ」をつかんでしまう結果になりやすいことが特徴です。
バブルに浮かれて不動産を無理して買ってしまうようなことが、トレンドフォロワーの身にも起こり得ます。潔く決済すれば問題ありませんが、損失が心理的な許容額をオーバーしてしまうと、塩漬けポジションになってしまいかねません。
大きな利益を取り逃がしてしまう可能性がある
トレンドフォローで大切な考え方は「頭と尻尾はくれてやれ」という天井・底は狙わない考え方です。しかし、トレンド発生を確認する安全性と引き換えに、タイミングによっては大きな利益を取り逃がしてしまうデメリットがあります。
トレンドが発生しないとトレードできない
順張りはトレンドが発生しないとトレードできません。相場の7割以上はレンジと言われているので、上昇・下落トレンド発生を待つのが苦痛になる人もいるでしょう。順張り以外ではトレードしないと決めているなら、なおさらです。
FXでは順張りと逆張りどちらがいい?
結論から言えば、初心者のうちは順張りがおすすめです。
1つ目の理由は、逆張りは「読み」の部分が多いからです。順張りと違って、逆張りはトレンドが発生する前にポジションを保有しなければなりません。「ここら辺で止まるだろう」という予測の部分が、どうしても多くなってしまいます。初心者のうちは予測の根拠も薄いので、ただのバクチになってしまうこともしばしばです。
2つ目の理由は、逆張りは大方の意見に逆らって売買するため、トレードプランを信じることが難しいことです。含み損を抱えたままで反転を信じて待つことは苦しく、不安なあまり、わずかな含み益が出ると利益確定してしまうケースが多くなるでしょう。また、含み損を抱えたときに平均単価を上げ・下げしようとポジションを増やしてしまうのも、大損失を出す典型的なパターンです。
このように逆張りはトレードスキルを求められるうえに、メンタルコントロールが難しい面があります。まずは順張りから取り組んではいかがでしょうか。
FXの順張りで重要なトレンドを判断するには?
順張りに必須になるのがトレンド判断です。ここではダウ理論、トレンドライン、移動平均線を用いたトレンド判定ルールを紹介します。
ダウ理論でトレンドをつかむ
トレンドには上昇トレンドと下降トレンドがあります。ダウ理論による定義は以下のとおりです。
- 上昇トレンド:高値と安値をともに切り上げている
- 下落トレンド:高値と安値をともに切り下げている
ダウ理論では「トレンドは明確な転換シグナルがない限り継続する」という重要なルールもあります。つまり、上記の条件を満たしている限り、トレンド継続中とみなします。では、転換シグナルは何かといえば、上記の条件が満たせなくなったときに他なりません。
ただし、多くのトレーダーはトレンド転換ルールをもう少し保守的にして運用しています。つまり、上昇トレンドにおいて高値を切り下げた時点ではレンジ(トレンドレス)移行とみなし、直近の高値更新の起点となった安値を割ったときに初めて、下落トレンド転換とするなどです。いくつかのダウ理論の解釈があるので、自分にしっくりくるルールを採用しましょう。
トレンドラインで判断する
トレンドを判断するためには、トレンドラインを引いてみるのも効果的な方法です。トレンドラインを引くためには、ダウ理論の高値・安値の考え方がベースになります。トレンドラインの定義は次のとおりです。
- 上昇トレンドライン:高値更新の起点となった安値同士を結んだライン
- 下降トレンドライン:安値更新の起点となった高値同士を結んだライン
トレンドラインを使ったトレンドの判定ルールは以下のようにします。
- 上昇トレンド:上昇トレンドラインより価格が上にある
- 下降トレンド:下降トレンドラインより価格が下にある
多くの場合、トレンドラインを割った・超えただけでトレンド転換とするのは、リスクが高くなります。トレンドラインは何度も引き直されるのが常だからです。そのため、ダウ理論と組み合わせてトレンド判定するのが一般的です。
移動平均線でトレンドを把握する
移動平均線とは一定期間の価格の平均値を表した指標です。価格をスムージングすることで、設定期間における大まかな流れを視覚化できるメリットがあります。
この移動平均線と価格の関係でトレンドを把握することもできます。トレンド判定方法の一例は次のとおりです。
- 上昇トレンド:移動平均線が上向き、かつローソク足が移動平均線の上で推移している
- 下落トレンド:移動平均線が下向き、かつローソク足が移動平均線の下で推移している
移動平均線はローソク足の終値ベースで作成されるため、保守的に判定するなら、終値が確定した時点でトレンドを判定したほうがよいでしょう。
期間をいくつに設定すればよいかは一概にはいえません。ただ、トレンド判断に使う場合は20期間以上の比較的長い期間がよいでしょう。短い期間だと、上向き・下向きの判定がしにくいうえ、すぐにローソク足が移動平均線をまたいでしまうため、トレンドを特定しにくいからです。
順張りでエントリーするタイミングは?
順張りでエントリーするタイミングは、大きく分けると「押し目・戻り」「レンジブレイク」「トレンド転換」の3つです。それぞれについて解説します。
押し目・戻りのタイミング
順張りの王道的エントリータイミングが押し目・戻りです。
- 上昇トレンドのときに一時的に価格が下がるタイミングで買う
- 下降トレンドのときに一時的に価格が上がるタイミングで売る
というのが基本です。
では、どこが押し目・戻りなのかを見つけるには、「一時的に価格が下がる・上がる動き=調整」とは何かを決めなければなりません。定義は以下のとおりです。
- 上昇トレンドの調整:高値を更新した後に下がる動き
- 下落トレンドの調整:安値を更新した後に上がる動き
この調整が起きたら、下げ止まる・上げ止まると考えられる価格で押し目買い・戻り売りが可能です。
たとえば、上昇トレンドでダウ理論を使うなら、直近高値付近まで価格が下がってきたときがエントリーのチャンスの1つになります。トレンドラインを用いるならトレンドライン付近、移動平均線を使うなら移動平均線付近がエントリーを検討するべきタイミングです。
レンジブレイクしたタイミング
レンジとは、価格が横ばいの状態が一定期間続き、上下にレジスタンスライン・サポートラインが確認できる状態です。レンジブレイクによる順張りは、このラインを突破してトレンドが発生したと考えられるタイミングでエントリーする方法です。シグナルは以下のとおりです。
- 買いサイン:レジスタンスライン上抜け(上昇トレンド発生)
- 売りサイン:サポートライン下抜け(下落トレンド発生)
レンジを形成する場所は天井圏・底値圏のほかに、階段の踊り場のような中間的な位置で発生することがよくあります。この小休止のレンジは、フラッグやペナントなどと呼ばれ、レンジブレイクの順張りが成功しやすいポイントです。「トレンド→一時停止→トレンド再開」という動きを狙うため、追って説明するトレンド転換よりも順行する確率は高くなります。
トレンド転換のタイミング
トレンド転換タイミングでの順張りエントリーでは、「トレンド→トレンド終了(レンジ、トレンドレス)→トレンド反転」という動きを狙います。
天井圏・底値圏からのトレンド転換を見極めるのは、難易度が高くなります。そのため、チャートパターンやテクニカル指標のシグナルを活用して確認を取ることが一般的です。
Wトップ、Wボトム
Wトップは2回高値を試したものの、同じ価格帯で止まり下方向へ反転してしまうことです。Mのような形状ができるので、高値チャレンジ失敗の起点となった安値を割った場所が売りエントリーポイントになります。
この価格帯は「ネックライン」とも呼びます。WボトムはWトップの逆で、エントリーシグナルも上下逆にして考えてください。
ヘッド&ショルダートップ(三尊)、ヘッド&ショルダーボトムス(逆三尊)
ヘッド&ショルダートップは3回上を試して失敗したパターンです。トリプルトップと違うのは、真ん中の高値が最も高く、両隣の高値が同じような高さにあることです。 この場合、高値チャレンジの起点となった安値を割ったところが売りエントリーポイントになります。この価格帯はネックラインと呼ばれます。ヘッド&ショルダーボトムス(逆三尊)は上下逆にして考えてください。
ゴールデンクロス、デッドクロス
短期移動平均線が長期移動平均線を上抜くのが「ゴールデンクロス」です。発生したタイミングで買いエントリーします。逆に、短期線が長期線 を下抜くのが「デッドクロス」です。発生したタイミングで売りエントリーします。
これらは信頼性の高いチャートパターンやトリガーですが、あくまで一例にすぎません。自分の得意なエントリータイミングを見つけていきましょう。
初心者は順張りからトレードを始めてみよう
順張りは初心者に適したトレード手法です。エントリータイミングと決済タイミングがわかりやすく、利を伸ばしやすい特徴があります。また、先を予測する部分が少なく、大きな流れに乗るため、心理的にも楽なことがメリットです。
トレンドフォローは強いトレンドに乗れれば、大きな利益が期待できます。トレンド判断、エントリータイミング見極めのスキルを磨きながら、コツコツ利益を積み上げていきましょう。