トレードのメンタル面を考える
過去36年のトレード経験に基づいた、独自のチャート分析手法やトレード論を解説!
独自のチャート分析手法(「スパンモデル®」「スーパーボリンジャー®」「アクティベート時間分析®」等)による相場分析方法。過去36年に及ぶトレード経験に基づいた、メンタル面からのトレード論も公開しています。Twitter https://twitter.com/murphyFX
人間らしく振舞えば振舞うほど、相場では損しやすい
一般的に、トレードでは、メンタル面が大事だとよく言われます。しかし、実際には、どのような意味なのかが明確には理解されていないように思えます。
分かりやすくする為に、極論すると、こうなります。つまり、儲けようという気持ちが強すぎると逆に損しやすくなるということです。がんばり過ぎると逆に損しやすくなるということです。
一方、楽な気持ちでマーケットに参加すると収益を上げやすくなります。すなわち、「損してもいいや」というぐらいの気持ちでマーケットと対峙すると、逆に好結果がついてくることが増えます。実に不思議ですね。
あるいは、このような表現をすると分かりやすいかもしれません。私達人間は、人間らしく振る舞えば振る舞うほど、相場では損しやすいのです。
何故、トレードは難しいのか?
この理由、原因を考える際の幾つかのポイントがあります。それは、私達人間に潜む基本的な煩悩です。
つまり、それは
■貪欲=もっと大きく稼ごうとすること
■怒り=失敗トレードを相場や他人のせいにすること
■迷い=焦りのあまり方向性を見失うこと
■恐怖=利益を失う恐れ、損失を出す恐れを持つこと
となります。
この中で、最初の「貪欲」がどうしていけないのだと思われるかもしれません。トレードしている以上、大きく稼ぎたいと思うのは、ある意味、当然のことかと思います。
しかしながら、本人はそう思っていても、実際には、逆効果となってしまうことも多いのが現実です。それが、マーケットの怖さなのです。この怖さは、マーケットを経験すればするほど分かるものかもしれません。
と言うのも、初心者には、「ビギナーズラック」というものがあるぐらい、怖さを知らないことが強みにすらなるからです。もちろん、残念ながら、この「ビギナーズラック」は長くは続きません。
また、俗によく言われる「利大損小」というのがあります。利益を大きくし、損失を小さくしたいのは誰しも思うことです。しかしながら、現実には、人間らしく振る舞えば振る舞うほど、その逆の結果をもたらしてしまうのです。
すなわち、この点については、科学的に実証研究もされており、人間というのは、利益は早く確定したくなる一方で、損失は実現するのが嫌で、引っ張ってしまう傾向があるということです。
これは、あくまで、大衆の行う行動パターンのことを言っており、ごく一部のトレード上手な人の話ではないです。ただ、この大衆の行動パターンを知っておくことは、極めて大事な部分です。
何故なら、自分の行動を冷静に、そして、客観的に判断することが出来るならば、この「ご法度な行動パターン」を防ぐことが出来るからです。
客観的な判断基準を持つことが大事
現実問題、人間として生まれてきたからには、人間が普通に感じ、覚える煩悩から逃れるわけにはいかないと思います。となると、普通に、自分が思うままに行動すればするほど、結果として、下手なトレードをしてしまうのだという現実を知っておく必要があると思うのです。
この「自覚」はとても大切です。普通は、自分の「非」を認めたくないのが人間の性だからです。それに対して、自分を客観視出来ることの意義は大きいです。
自分を客観視できる人間は、強いです。何故なら、自分の弱さも分かるからです。自分の弱さが分かれば、それに対して対処できるようになります。これは、トレードでは、大いなる「手段」となるからです。
さて、以上のことから、要点は以下の通りとなります。人間本来の感情(=煩悩)を持つことは、人間である証拠です。
そして、その為の「解決策」は、弱い自分を認めること、自分の心の状態を客観視すること、つまりは、客観的な判断基準を持つこと、となります。
そして、実際の相場の世界において、この客観的な判断基準は、「トレード技術」を持つことで得ることができるようになります。
ポイントは、「技術」という目に見えるものでもって、「メンタル」という目に見えない物をコントロールすることができるようになることです。この点を重々ご理解して頂けると、今後のトレードの成功率が飛躍的に上昇すると思います。
とどのつまり、正しい「トレード技術」を習得した上で、この技術を正しく活用することこそが、成功トレードへの道となるわけです。
相場の世界で守りたい「ルール」
続いて、相場の世界で守りたい「ルール」をお伝えしておきましょう。たとえば、以下のようなものが「ルール」です。
■相場(マーケット)に対して謙虚になること
■相場を支配しようとしないこと
■「相場は常に正しい」と考えること
■目の前の相場を注視すること(今、現在を最重視)
■自分を相手(相場)に合わせて、相場と友達になること
■相場(マーケット)に対して威張ってはならないこと
■「完璧主義者」であることを止めること
■「自分に適ったトレードスタイル」を構築すること
などなどです。
相場に対して謙虚になること
謙虚になることが大事だと書くと、何かしら優等生っぽい表現ではありますが、実際のところ、相場の世界では、このスタンスはとても大切です。
このような言葉があります。
「相場は常に正しい」
この「相場は常に正しい」ことを認めるかどうかの違いは大きいです。よく、世間では、「ダマシ」と言う表現が使われます。一般的には、あるチャートポイントを一旦はブレイクして、上昇なり、下落なりするかと思いきや、その直後に反転するケースなどを指します。
一旦は、ダマされたわけですが、その後に、元の方向に戻るパターンというものです。実際に、毎日、トレードしていると、このような「ダマシ」に遭遇することは多いです。そして、往々に、「ダマシ」は、相場が間違っているという考えや思いを持ってしまうことです。
しかしながら、そもそも、「相場が間違っていることはない」というのが私の考え方です。すなわち、間違っているとすれば、それは、常に「私」であり「自分」だということです。「私の相場観」なり、「私の判断」が間違っている以外にありえないわけです。
マーケットは常に正しい
この「私の相場観」なり「私の判断」が間違っていることを認めるには勇気がいります。何故なら、人間というのは、自分が一番かわいいからです。人間誰しも、自分の非を認めたくないものです。それを敢えて認めるわけですから、抵抗感を感じざるをえません。
それでも敢えて、「マーケットは常に正しい」、「間違っているとすれば自分以外は存在しない」ということを認めることこそが、マーケットと正しく対峙する為にはとても大切なことなのです。このようなスタンスこそが、「相場に対して謙虚になること」だと言えます。
さきほど、間違っているとすれば、それは、常に「私」だと書きましたが、この意味は、常に、相場が「主」で、トレードする「私」が「従」だということです。これが、相場の世界における「主従関係」だということです。
この関係は、絶対的なものであり、変えることは出来ません。したがって、相手である相場に対して常に従う必要があります。と言うわけで、相手である相場がどのようなものであるかを綿密に観察する必要があります。この観察する作業が、相場の世界では、「相場判断」となります。
そして、この「相場判断」に基づいて、実際にトレードする際に、「売買判断」が必要となってきます。もちろん、この「売買判断」も、相手である相場の観察に基づいたものです。いずれにしても、トレードとは、「相場判断」と「売買判断」の2本立てです。
相場を相手にしている以上、相手が常に「主」であり、その「主」である相場を充分に正しく観察し、この観察に基づいた「相場判断」と「売買判断」に従って、淡々とトレードしていくことこそが肝要だということです。
そして、これら「相場判断」と「売買判断」を行うには、「技術」が必要です。正しい「技術」を持っていてこそ、相場を正しく判断することが出来、そして、正しくトレード出来ることにつながります。
結局のところ、相場から収益を頂戴するには、相場に対して謙虚にあらねばなりません。そして、謙虚になることとは、相手である相場を真正面から正しく観察することであり、その観察に基づいた「相場判断」及び、「売買判断」を正しく行うことが必須となります。
さらに、この「相場判断」や「売買判断」を行うには、「技術」が必要となるということです。ぜひ、焦らずに、しっかりと学んでいただければと思います。