自分のスタイルでコツコツ収益を積み上げる
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
手を出してはいけない相場をいかに見極めるか
FXの上手い人は相場がどんな時でも利益を得て、下手な人はいつも損するように思いがちですが、そうではありません。
FXが上手い人は、自分が得意なパターンで収益を得て、苦手な場面は手を出さないか、手を出しても小規模にしています。
野球に例えるなら、ボール球に手を出さず、自分の得意なコースに来るのを待って、そこで確実にヒットする、ということです。
トレードでは「待つ」ことが大事と言われるのも、同じことですし、自分のスタイルを作るのが重要なのも同じことを意味しています。しかもFXに見送り三振はありません。自分の得意コースをずっと待ち続けることができます。
初心者が自分のスタイルを探す中で重要なのは、手を出してはいけない相場、ボール球をいかに見極めるか、だと思っています。
テクニカルを学ぶと明らかに動く場所があり、また手を出しても上手くいくかどうかは運次第となる場所もあります。こうした値動き分析の基本を知ると、ボール球に手を出さなくなり、結果として収益は向上するはずです。
また、自分の取引データ記録・分析して、不得意相場をキッパリと捨てる潔さと、得意相場でしっかり儲けるのが収益に貢献します。
堅実な資金管理
もうひとつ、FXが上手な人に共通するもう一つの要素があります。それは堅実な資金管理です。
こうしたトレーダーの実効レバレッジは、初心者の方が思うよりずっと低いものです。法定レバレッジではなく、実効レバレッジである点が重要です。
レバレッジを高くすればトレードが上手く行った時の収益は増えますが、「もしも」の時に資金の多くを失うことになります。相場上手な人は「もしも」であっても自分の資金を大きく減らすようなリスクは取りません。
例えば、上昇過程なのに利確したりするのは、確実に利益を実現させるためですし、さらに値が伸びるなら、直近高値の上でもう一度買えばいいだけです。
2015年1月のスイスフランの動きを思い出してください。この時、スイス国立銀行(SNB)はユーロスイスを1.20で支えていました。ユーロが大きく売られる動きの中、スイスフラン高を避けるため、1.20でスイス売りユーロ買い介入していたわけです。
しかしご承知の通り、SNBはある日突然、このサポートを止めます。このためユーロスイスは、ほぼ一瞬で1.20から0.86か0.85ぐらいまで暴落しました。こうなるとストップロスオーダーなど役に立ちません。
この動きでいくつかのFX会社が破綻しましたし、追証を迫られた投資家もいたはずです。
相場では、たった1回の予期せぬ動きが致命傷となることがあります。相場で生き残っている人は、そうした例を知っているので、実効レバレッジが高くならないようにポジション管理しているはずです。
致命傷までいかなくてもハイレバで投資資金の多くを失うと、その後に何度も訪れるトレード・チャンスで取引できないことになってしまいます。ハイレバレッジの一発屋はギャンブルと同じです。
自分のスタイルでコンスタントに小さな利益を積み重ねて行くのが、トレード生活には重要なことなのです。
FX取引は派手なイメージがあるかもしれませんが、長く取引を続けている専業トレーダーは、実は質素で堅実なのも共通しています。そしてコツコツ収益を積み上げる人ほど、資産は大きくなっていきます。