コンスタンシオ元ECB副総裁のTweet
ボストン連銀 ローゼングレン総裁
かなり際どいこと、仰っています。ローゼングレンさんは、以前は中立よりややタカ派 というイメージでしたが、かなりタカ派の発言が最近は多くなっていますね。
ROSENGREN: 10Y TREASURY INCREASE POINTS TO ANTICIPATION THAT ECONOMY WILL DO BETTER IN SECOND HALF OF YEAR
米10年債(利回り)は、今年下半期の米経済が(今より)よい状態になる期待を見せている
Rosengren: definitely "Froth" in some parts of the market, but concerned less about financial stability until economy is closer to full employment
マーケットの一部は泡(バブルという意味でしょうか?)であることは間違いない。しかし、労働市場が完全雇用に近くなるまでは、(泡があっても)金融安定にはさほど影響はない
大好きなコンスタンシオ元ECB副総裁のTweet
もう1つ大事なTweetをご紹介します。ドラギさんがECB総裁だった頃、記者会見でドラギさんの隣に座って半分居眠りしているように見えていたコンスタンシオ元副総裁。ポルトガル人らしい温厚な性格で、誰からも好かれる方ですが、こんな優しい顔をして優秀なエコノミストでもあります。
コンスタンシオさんの凄いところは、ECBをお辞めになっても、Twitterを通してガチのエコノミストとしての意見を惜しみなく無料で書いてくれること。本当に感謝しかありません。
ということで、昨日の長~いTweetをご紹介します。全部で12個あります。
https://twitter.com/VMRConstancio/status/1361715622036529155
・ メディアの報道を読むと、新しい問題が浮上してきたようだ。
①インフレ率の上昇がやってくる。
②もし中銀が政策金利を上げたら、債務が爆発しリセッション入りしてしまう。
③中銀は行き場のないジレンマを抱えている。
・ このTweetのいくつかは、あまりにも複雑すぎるかもしれないが、今年に入ってからのインフレ率は、一過性の理由も手伝い、事前予想より高くなっているのも事実である。
・ 例えば、ユーロ圏を見ると、12月-0.3%から1月には一気に+0.9%に跳ね上がっている。この背景には、ドイツでのVAT税上げという一時的要因があるが、現時点でのインフレ率を比較すると、「米>欧」である。
・一時的要因を他に挙げると、原油価格の上昇があるだろう。一部のエコノミスト/シンクタンクは、アメリカのインフレ率は4月には4%に到達するという予想を挙げているようだ。特にワクチン接種が終了するであろう今年後半には、今まで出てこなかった需要が出てくるようになり、物価上昇を引き起こすかもしれない。
・ 一部の人は貯金を崩して消費に回すだろうが、全体的に見ると、コロナ前よりもコロナ後の方が貯蓄率は高いままだろう。そして、雇用は継続したとしても給与の引き上げは難しいため、消費者も熱狂的な消費には走らないだろう。そうなると、インフレ率は上昇するが、高インフレという状況には、なりにくい。
・ しかし最近のインフレ率上昇を見た古くからのマーケット参加者達は、高インフレ時代が来ると騒ぎ始め、中央銀行へのプレッシャーはどんどん高まるばかりかもしれない。
・ 一時的なインフレ率上昇により、国債利回り(長期金利)は上昇したため、投資家は国債の保有を諦めたり、株価に影響を与えたりするかもしれない。
・ 中央銀行は、インフレ率が2%を超えたとしても、しばらくは何もアクションを起こさないだろう。特にFEDは平均インフレ率目標(AIT)を導入しており、2%超えのインフレ率にも対応できるようになっている。ECBや他の主要国の中銀も、同様の措置を取ることになろう。
・ もしインフレ絡みで私がメディアに出て説明するようなことになるのであれば、その時にはインフレ率がしつこいほど高いままで推移し、水準も「4%>インフレ率>3%」という状況になっているに違いない。そして、そういう状況が起きるとは、思えない。仮にそういうインフレ率になったとしよう。その時に、中銀は政策金利を引き上げることを躊躇するか? いや、しないだろう。その時に、債務の健全性が破綻し、とんでもないことになっているか?
・ それはその時の諸状況によるだろう。インフレというものは、いろいろなことが重なって起こる。インフレ率上昇は、GDPの拡大を伴うことが多い。そうなれば、債務残高対GDP比は縮小する。総合すると、この部分については、「政策内容と名目GDP 対 名目金利」となるだろう。
・ よく知られた話しであるが、戦後の高成長と高インフレにより、戦時中に発生した債務は吸収された。債務削減のための緊縮財政策の導入は必要なかった。
・ しかし現在我々が直面している状況は、戦後とは違う。戦後のようなイケイケの経済成長は期待できない。と言うことは、高成長=高いインフレがしつこいほど続く可能性はかなり低いということであろう。
う~ん 非常にうまく書かれているのですが、本当にこのまま長期金利上昇がどこかでストップし、イエレン財務長官がG7で語ったように、「大胆な財政政策」を導入し、どんどん赤字国債を発行するやり方が良かった、正解だった! と胸をなでおろして喜べるのかしら?
過去のマーケットで学んだことは、マーケットは一度勢いがついてしまうと、止まりません。その辺りはエコノミストさんの経済学上での理論と、実際のマーケットで痛い思いをした私達とでは、少々違ってくるのかな?と思いました。