独学で学べるFXの基礎!稼ぐ仕組みからトレードを始める方法まで解説
今回は、独学で学べるFXの基礎として、稼ぐ仕組みやリスク、分析方法、資金管理のしかたなどの概要を解説します。独学で学ぶポイントを押さえておけば、多くの時間を節約できるはずです。短期間でFXの基礎を学んで、トレードを始めましょう。
★ 今回のポイント!
- 独学の環境は充実しており、基礎的なスキルは独学でも習得可能
- FXの「仕組み」「リスク」「主な分析手法」「資金管理」の基本は独学で知っておこう
- トレードスタイルとマイ・ルールを決めて、デモトレードや1000通貨単位のトレードを始めてみよう
FXは独学でも始められる?まずは自分で勉強できることから!
現在は、インターネットや書籍での情報も多く、FXを始める人にとっては恵まれた環境といえます。それでも「独学では利益が出せない」と言われるのはなぜなのでしょうか。多くの場合、いきなり実践的な手法やトレードシグナルを見つけようとしてしまうからです。
何事も基本が大切と言います。基礎知識は独学でも学べるので、本やWebサイト、動画などを活用して自分で勉強できることから始めてみることが大切です。少し遠回りのようでも、実はこれが最も近道です。基礎を全く勉強せずにFXを始めても、おそらく利益につながりません。まずは、この記事で紹介するような独学で学べる知識から身につけていきましょう。
独学で学べること①:FXの仕組み
ここでは、これからFXを始めようとしている人に向け、FXの仕組みや特徴、魅力、レバレッジなどについて解説します。
FXで稼ぐ方法
FXは日本円や米ドル、ユーロ、ポンドなどの通貨を交換することで利益を上げる投資です。「これから価値が上がる」と予想した通貨を買ったり、「下がる」と予想した通貨を売ったりすることで利益を狙います。予想したとおりレートが動けば、為替変動によって得られる「為替差益」で利益を上げられる仕組みです。
たとえば、米ドル/円を買う場合は、円を売って米ドルを買うという通貨交換が行われます。もし、1ドル100円から、1ドル110円に上昇すれば、10円の為替差益が得られるというわけです。通貨の交換はFX会社が仲介しているので、ユーロ/米ドルなど、円以外の通貨ペアも取引できます。
FXでは為替差益によって稼ぐ方法が主流です。しかし、他にも2つの通貨の金利差によって生じる「スワップポイント」を受け取ることで、外貨預金のように金利を得る方法もあります。
たとえば、トルコリラの金利は2020年4月時点において8.75%で、日本の金利はマイナス0.01%です。したがって、トルコリラ/円でトルコリラを買った場合、8.76%の金利差=スワップポイントが毎日発生します。
ただし、FX会社の取り分があるので、それを引いた額が通貨単位あたり1日いくらという形で計算され、会社ごとに額が公表されています。
FXの特徴・魅力
FXの投資対象は通貨ペアです。どのような特徴や魅力があるのでしょうか。
少ない資金でも大きな利益が狙える
FXでは1ドル100円なら、4,000円程度から取引できるので、気軽に取引を始められるでしょう。「お小遣いの足しになるぐらい稼ぎたい」という人であれば、資金5~10万でも月に数千から数万円の利益が見込めます。
取引手数料が安い
通常のFX会社では、取引手数料が無料です。実際は、「スプレッド」という買値と売値の差で手数料を取っていますが、非常に安い金額です。メジャーな通貨ほどスプレッドが狭い傾向があり、米ドル/円の取引コストは1ドルあたり1銭程度しかかかりません。外貨預金では1~2円程度の手数料が取られることを考えると、その安さがわかるのではないでしょうか。
24時間トレードができる
為替取引は、世界中のマーケットをリレーしながら継続されます。そのため、FX会社によって若干違いもありますが、土日とクリスマス、元旦以外は24時間トレード可能です。
日本の会社員などにとってうれしいのは、夕方から夜間に取引が活発な時間があることです。16時半(夏)・17時半(冬)には欧州市場、22時半(夏)・23時半(冬)からはニューヨーク市場が開くため、この前後で取引が活発になります。
売りからトレードを始めることもできる
現物株では、買いからしかトレードができませんが、FXでは売りから始めることも可能です。そのため、上昇トレンドだけでなく、下落トレンドやレンジ相場でもチャンスが多くあります。
スワップポイントで利益を得られる
長期運用したい場合には、為替差益ではなくスワップポイントという金利狙いも可能です。金利差が大きい通貨ペアを選んで取引できるので、運用次第で資金を大きく増やせます。
FXにおけるレバレッジの仕組み
レバレッジとは「てこの原理」という意味の言葉です。FXにおいては、資金の何倍もの金額で取引できる仕組みのことをいい、少額資金でも大きな利益を上げられるメリットがあります。仮に資金10万円で100万円分を取引すると、レバレッジ10倍です。
レバレッジをかけて取引するには、まず「証拠金」と呼ばれる資金をFX会社へ預け、FX会社が決めた証拠金維持率をキープする必要があります。何倍のレバレッジをかけられるかは、FX会社や加入するプランによって違います。日本のFX会社では預けた証拠金の25倍が限度です。
独学で学べること②:FXの主なリスク
FXで取引を始める前には、リスクについて学んでおくことも大事です。ここでは、FXの主なリスクを解説します。
為替が予想外の方向に動く「為替変動リスク」
為替は需給関係によって常に変動しています。政治や経済、自然災害などあらゆる事象が関係するので、先を見通すことはプロでも困難です。予想と反対にレートが動いた場合、為替差損が発生します。取引通貨に影響の大きい出来事や政策決定などがあると、急激な変動によって証拠金を上回る損失が出ることもあります。
個人投資家ができる対策は、ロスカット注文を常に入れておくことです。急激な変動もあるので、24時間取引できるからといって油断しないようにしましょう。また、アメリカの雇用統計前やテロが起きた際など状況が不安定な場合は、あえてトレードする必要はありません。為替変動リスクが低くなってからトレードを再開すればいいのです。
スワップポイントが逆転する「金利変動リスク」
スワップポイントによりFXで稼ごうとする人の多くは、長期運用を想定しているのではないでしょうか。確かに、多くの場合、金利は急激に変動しないので、長期運用に適しています。しかし、その国の経済状況や金利政策の影響により変動する「金利変動リスク」はゼロではありません。金利の変動によりスワップポイントがマイナスになり、逆に支払わなければならないこともあることに注意しましょう。
スワップポイント狙いの投資では、金利差がプラスになる通貨ペアを選びます。しかし、金利の変動が起きることで、運用途中でマイナスのスワップポイントになってしまうこともあります。また、為替差益狙いのトレードで「売り」でエントリーした場合、金利上昇によってスワップポイントの支払いが予想以上に増えるリスクにも注意が必要です。
流動性が低くて換金できない「流動性リスク」
流動性リスクとは、買い手と売り手の釣り合いがとれず、「買いたいときに買えない」「売りたいときに売れない」という事態になるリスクのことです。つまり、流動性リスクが現実になると、損切りや利益確定、新規エントリーなど、自分の望む価格で取引できません。
この流動性リスクは、取引量が少ないマイナーな通貨が高く、メジャーな通貨では低い傾向があります。基本的に、相場参加者と取引量が多い通貨を選ぶのが、流動性リスクを避けるポイントです。
流動性リスクが低い通貨:米ドル、ユーロ、英ポンド、日本円、スイスフランなど
流動性リスクが高い通貨:オーストラリア・ドル、ニュージーランド・ドル、トルコリラ、南アフリカランドなど
FX会社が破綻する「信用リスク」
信用リスクとは、FX会社が破綻して資金が引き出せなくなることです。日本のFX会社の場合、「信託保全」が義務づけられているため、万一会社が破綻しても資産は守られる仕組みになっています。ただし、海外のFX会社は信託保全の対象外なので注意が必要です。
FX会社に原因があり、公平な取引ができないリスクや、取引が成立しないリスクもあります。FXにおいては、これも信用リスクに含めるのが一般的です。たとえば、流動性リスクが高まっている際に、FX会社がスプレッドを極端に広くしたりレートを提示しなかったりするリスクもあります。
また、FX会社の規模が小さく取引相手を見つけられなかったり、設備が不十分で通信不具合が生じたりする恐れがあることも、広い意味では信用リスクといえるでしょう。
独学で学べること③:テクニカル分析とファンダメンタルズ分析
FXでは相場の方向性をとらえるために、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析が活用されます。それぞれの特徴や違いを解説します。
テクニカル分析
テクニカル分析とは、チャートをもとに為替の動きを予想する方法です。チャートは価格と時間という2つの要素で構成されているので、始値・終値・高値・安値で表される「ローソク足」や「バーチャート」が最重要です。
このローソク足やバーチャートのデータをもとに加工された代表的な指標が、移動平均線やボリンジャーバンド、MACDなどです。さまざまな指標がありますが、どれが優れているわけではありません。トレンドフォローに適したものやレンジ相場に適したものがあるので、トレードスタイルや手法によって選んだり、状況に合わせて使い分けたりしましょう。
稼ぐためのスキルを短期間で身に付けやすいこともあり、個人投資家のほとんどはテクニカル分析を中心にトレードをしています。投資初心者なら、トレードを始める前にチャートやテクニカル指標の見方を学ぶことをおすすめします。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析とは、為替変動に影響を与える出来事や現状分析から相場の方向性を予想する方法です。経済指標の発表、要人発言、選挙結果、軍事攻撃やテロ活動など、さまざまな要因を分析して、主に長期的な方向を推測しようとします。株式投資では企業の財務状況の分析が中心になりますが、FXの場合はその規模が大きいといえるでしょう。
個人投資家の場合、重要な情報に早い段階でアクセスするのは難しいうえ、専門的な分析能力も求められるのでハードルが高いといえます。そのため、たとえば「新興国のスワップポイント狙いの長期運用」など、ある程度投資スタイルを決めたら、それに適した情報を購読したりアドバイスを受けたりするのもおすすめです。
また、ファンダメンタルズ分析だけでなく、テクニカル分析を組み合わせてエントリーを判断するのも有効です。
独学で学べること④:資金管理のしかた
巨額の利益をあげた投資家ジョージ・ソロスは「まず生き残れ。儲けるのはそれからだ。」という名言を残しました。FXを続けるためには資金管理が不可欠です。ここでは、基本的な方法を紹介します。
損切りと利益確定のポイント
損切り、ロスカットとは自分の予想に反して相場が動き、含み損が出たときに損失を最小限にするために決済することです。利益確定とは、自分の予想していた水準まで価格が順行したときに決済し、利益を確保することをいいます。
損切りと利益確定は、FXで資金管理するために重要なポイントです。というのも、初心者の多くは、損失拡大中に何もせずにエントリー価格に戻るのを祈っていたり、利益確定するべきときに欲が出て利益を失ってしまったりするからです。
こうした感情・行動をコントロールするのは難しいので、損切りと利益確定のルールを決めておきましょう。
ポートフォリオの組み方
ポートフォリオとは、複数の運用を組み合わせた全体のことです。たとえば、米ドル/円とユーロ/ドルなど複数の通貨ペアのポジションを取っていることをいいます。FXでは投資対象が、通貨という国規模の単位です。
つまり、仮に円を買う場合は、日本経済全体に投資することを意味するともいえます。そのため、株投資のような細かなポートフォリオの作成は、必要ないといえるかもしれません。
しかし、新興国のスワップポイント狙いで高レバレッジをかける場合などは、やはり危険といえます。FXでは、勝率が高くても損失幅が大きいと、トータルで利益を出すことは難しくなります。早めに損切りし、利益は伸ばすという「損小利大」の考え方が重要なのです。
リスクを分散して損小利大を実現するには、通貨ペアを複数選んでポートフォリオを組む方法があります。損小利大を重視した取引をすれば、勝率が低くてもトータルで利益を得られるでしょう。ポートフォリオを組む場合、米ドル・ユーロ・円などメジャーな通貨を中心にするのが一般的です。
メンタル面のコントロール方法
FXではどんなに注意深く資金管理をしていても、メンタル面が弱いとトータルで利益を出すことは難しいといえます。お金に対する欲や不安から、不利な条件でトレードしてしまい、大きな損失を出すことがあるからです。
よくあるのは、負けをすぐに取り返そうとしたり、チャンスを逃す不安を感じたりしてすぐにポジションを持ってしまう「ポジポジ病」になるケースです。こういうトレードはすぐに負けるので、今度は恐怖感を持つようになり、トレードできなくなったり、有利な場面で迷ったりするようになってしまいます。
そのため、メンタル面でも負けないように、コントロールのしかたも学ぶことが必要です。メンタル関連の本、行動経済学関連の本もお金に関する心理と行動を理解するのに役立つでしょう。
FXを本格的に学ぶための4つのステップ
本やWebサイトなどでFXの基礎を学んだら、実際に取引してみることもおすすめです。ここでは、本格的にFXを学ぶための4つのステップを紹介します。
トレードスタイルを決める
FXのトレードスタイルはさまざまです。自分に合ったスタイルがわからないなら、まずはポジションを保有する期間で絞り込んでみてください。主に以下の4種類があります。取引できる時間やリスク許容度などから、自分に合ったトレードスタイルを決めましょう。
スキャルピング
数十秒から数分の短い時間でトレードしながら利益を積み重ねていく方法。短期間なのでリスク管理がしやすいこと、回数をこなしてトレードのスキルを向上しやすいことがメリット。デメリットは、常にチャートを監視しなければならないことや不規則な動きが多いこと、素早い判断・発注操作などが求められるなど。
デイトレード
1日のうちに利益を確定させる方法。スキャルピングに比べてゆったりしており、経験を積みやすいというメリットがある。一方、日に数回しかチャンスがないので、仕事をしている人などには不向き。
スイングトレード
数日から数週間ポジションを保有し、利益を狙う方法。日足ベースで取引できるので、ビジネスパーソンでも取り組みやすい。1日1回レートを確認する程度がよいと考えている人におすすめ。一方、土日をはさむこともあるので、リスク管理には注意が必要。
長期トレード
半年から数年間ポジションを保有する方法。一般的にはスワップポイントで利益を狙うことになる。金利差が大きい通貨ペアで外貨預金よりも大きな利益を目指すことも可能。一方、一旦エントリーしたら少しの変動で返済しない忍耐強さや計画性、ファンダメンタルズ分析を学ぶことが必要。
自分のルールをつくる
FXで利益を積み重ねるには、自分のルールを確立することが大切です。トレードスタイルや取引手法、資金管理の方法などを決め、それを徹底して守ることで冷静なトレードができるようになります。まずはシンプルなルールを決めて実践してみましょう。
移動平均線やボリンジャーバンドなど複数の指標を組み合わせて優れたルールを作ろうとする人もいますが、ほとんどの場合「混ぜるな危険」です。複雑すぎると成績を後から検証できないうえに、ルールを守るのが難しくなってしまいます。資金管理も「取れるリスクは証拠金の2%まで」など、シンプルにしておきましょう。
デモトレードで練習する
一部のFX会社は、デモトレードのサービスを提供しています。デモ口座を開くと、仮想の資金額を設定して、実際とほぼ同じアプリを使って練習できます。実際のチャートを見ながら、注文の仕方やエントリーポイントの探し方、資金管理などを勉強しましょう。
最終的には、実際の資金と同額に設定して、シミュレーションしてみることが大切です。取引回数や勝率、リスクリワード(利益÷損失)、資金の推移などの記録をなるべく残しましょう。ルール作りやトレードスタイルの構築、メンタルのコントロールなどに役立つはずです。
少額の資金を投資して実践で学ぶ
相場の世界でも「知っているのとできることは違う」と言われます。いざ自分のお金が増えたり減ったりするとストレスを感じ、ルールに従えないことはよくあることです。そこでおすすめなのが、デモトレードで慣れてきたところで、実際に少額の資金から取引してみることです。本物のお金を使うことで、緊張感のある取引ができるでしょう。
初心者の場合は、1,000通貨程度から始めてみてはどうでしょうか。1,000通貨なら、1ドル110円の場合、4万5000円ぐらいの証拠金で取引できます。1ドルの価値が1円上下しても1,100円しか動かないので、大きなリスクを取らずに実践トレードができるはずです。
ただし、1,000通貨単位の取引ができないFX会社もあります。あらかじめチェックしておきましょう。
FXの基礎を独学で勉強してトレードを始めてみよう!
FXは本やWebサイトなどを活用して独学で勉強することも可能です。まずはFXの仕組みやリスクを知り、テクニカル分析やファンダメンタルズ分析など、利益をあげるためのスキル習得に取り組みましょう。
適切な資金管理をしながら安定的に利益を積み重ねていくには、自分にあったトレードスタイルとルール作りが不可欠です。基礎を一通り学んだらデモトレードや少額取引で実践的なトレードも行いながら、自分なりの稼ぐ仕組みを作り上げていきましょう。