FXのトレード手法とは?基本的な分析方法やトレードスタイル別の手法も紹介
今回のポイント!
- 「順張り」はトレンドに沿った手法、「逆張り」はトレンド反転を狙う手法
- 相場の分析方法には「ファンダメンタルズ分析」と「テクニカル分析」がある
- トレード手法はトレードスタイル別に使い分けることが重要
FXの基本となるトレード手法とは?
トレード手法におけるポジションの取り方は、日本の相場用語では「順張り」と「逆張り」に大別できます。順張りはトレンドフォローと同じ意味で使われているので、ご存じの方も多いでしょう。逆張りは日本ではカウンタートレードとも呼ばれています。それぞれ、トレードの特徴を解説します。
トレンドに乗ってトレードする「順張り」
順張りとは、大きなトレンドの方向に沿ってトレードする手法です。移動平均線をトレンド判定に使っているなら、移動平均線の示す方向に沿ってポジションを取ります。FXをはじめとしたトレード全般では、順張りでトレードするのが基本であると言われています。トレンドと同じ方向に仕掛けたほうが、ポジション保有後に短期間で順行しやすく、また利益を伸ばしやすいからです。
順張りで大きな利益を得るためには、トレンド発生後の初期段階でポジションを持つことが重要です。しかし、この段階ではまだ従来のトレンドが継続していると考えるトレーダーも少なくありません。そのため、トレンド発生と思ったら従来のトレンドに戻ってしまう「だまし」の動きが多い傾向があります。
トレンドに逆らって利益を狙う「逆張り」
逆張りとは大きなトレンドの方向の逆方向にトレードする手法です。移動平均線をトレンド判定に使っているなら、移動平均線の方向[a2] と逆にポジションを取ります。
逆張りのタイミングを図るときによく使われるのは、移動平均線からの乖離率が大きくなったときにポジションを取る手法です。また、スイングトレードや長期トレードにおいては、後ほど解説するファンダメンタルズ分析で実体経済と価格が乖離しているなどと判断して逆張りする人もいます。
逆張り手法は買われすぎ・売られすぎの状態を狙ってエントリーするため、予想どおりトレンドが反転すれば、大きな利益を狙えることがメリットです。しかし、反転の動きを確認する前にエントリーすることになるため判断が難しく、トレンドが続いた場合は適切な損切りをしないと大きな損失につながります。また、首尾よく反転したとしても、いつ元のトレンドに戻るのか警戒しながらポジションを保有するため、利益を伸ばしにくいこともデメリットです。このため、逆張りは上級者向きの手法とされています。
FXのトレード手法で重要な分析方法
相場を分析する方法は、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析の2つに大きく分けられます。それぞれの分析方法について詳しく解説します。
ファンダメンタルズ分析
ファンダメンタルズ分析は、各国の経済状況や国際情勢、金融動向など為替相場に影響を与える要因を分析して将来の動きを予測する方法です。株式におけるファンダメンタルズ分析は主に企業の業績や経営状況などが対象ですが、FXにおいてはもっと大きな国レベルのスケールで分析します。
マーケットに大きな影響を与える機関投資家やヘッジファンドなどは、ファンダメンタルズ分析を中心に資金を動かしているケースがほとんどです。また、個人投資家よりも長期間ポジションを保有する傾向にあります。
個人投資家の場合、入手できる情報がどうしても限られるため、こうした大口投資家に比べて不利な面があります。しかし、プロがまとめたレポートなどを読み解けるようになると、相場急変のリスクを察知することや、機関投資家やヘッジファンドの動向をフォローするような長期トレードが可能になります。
ただし、現実的には個人投資家が為替に影響を与えた要因を知るころには、すでに価格が大きく動いていることもしばしばです。また、専門的な知識がなければ、為替の動きと関連付けて分析できないことも少なくありません。そのため、多くの個人投資家はファンダメンタルズ分析を相場背景や長期的なトレンドの分析として補助的に用い、具体的なトレードプランはテクニカル分析で行っています。
テクニカル分析
テクニカル分析とは、価格推移を分析して今後の値動きを予測する方法です。価格情報をチャートにして視覚化し、移動平均線やMACD、ボリンジャーバンドなどのテクニカル指標も用いて分析します。スキャルピングやデイトレードなど短期間でトレードする場合には、ほとんどの判断をテクニカル分析によって行います。スイングトレードや長期トレードにおいては、ファンダメンタルズ分析とテクニカル分析をバランスよく組み合わせることが重要です。
テクニカル指標も順張り向きのトレンド系と逆張り向きのオシレーター系の指標に分類できます。トレンド系の指標を逆張りに使うトレーダーがいるなど一概に言えない面はありますが、一般的にはトレード手法とテクニカル指標の相性を考慮して選びましょう。
トレンド系
トレンド系のテクニカル指標はトレンドの方向性を分析するのに適しており、主に順張り手法で用います。これらの多くは移動平均線の考え方がベースになっており、傾きを見るだけでトレンドの方向や強さを直感的に把握できることが特徴です。
一目均衡表では、転換線が基準線を上抜ければトレンド転換と判定するなど、環境認識だけでなくトレンドフォローのポジションを持つタイミングを図れるように工夫されています。また、ボリンジャーバンドは標準偏差(データのバラつき具合)のバンドを表示することで、値幅の予測やトレンドの加速・収束などの分析を行いやすくしています。
オシレーター系
オシレーター系のテクニカル指標は売られすぎや買われすぎを分析する方法です。代表的なオシレーター系テクニカル指標にはRSI、MACD、ストキャスティクスなどがあります。
オシレーター系の指標の多くは、ある区間の値幅を求め、現在値がその値幅のどの位置にあるかを判断することが共通しています。したがって、例えば高値を更新し続けている強い上昇トレンド相場では、ずっと買われすぎのシグナルが出るので役に立ちません。価格が上下に行ったり来たりしているレンジ相場でよく機能します。
トレード手法はトレードスタイル別に使い分ける
ここでは、トレードスタイル別にどのようにトレード手法を使い分けたらよいのか解説します。
スキャルピング
数秒から数分で取引を完了させるスキャルピングは、テクニカル分析が重要です。経済イベントのスケジュールを把握して不安定な動きが予想される時間帯を避ける必要はありますが、それ以外のファンダメンタルズ要素はあまり重視されません。
スキャルピングで順張りトレードをする場合は、1分足や3分足など短い足のチャートを用います。順張り手法なら、例えば移動平均線に傾きが出た際に、移動平均付近までの押し・戻しを待ってトレンド方向にエントリーします。スキャルピングでは大きな利益は見込めないため、ポジション保有後、移動平均線を割ったら利益確定、または損切りを行うなど、機敏に対応する手法にしたほうが成績は安定するでしょう。
ボリンジャーバンドはもともとトレンド系のテクニカル指標ですが、逆張りで使うことも可能です。特に移動平均が横這いになっているレンジ相場では、バンドの上限にタッチすると移動平均線近くまで反落 する可能性が高いので、逆張りエントリーが可能です。レンジ幅にもよりますが、反対側のバンドまで到達すれば利幅が少ないスキャルピングでも比較的大きな値幅が見込めます。
デイトレード
デイトレードは1日で取引を完結させるスタイルで、1日1回~数回程度トレードを行います。スキャルピングと同じくテクニカル分析をメインに使ってトレードプランを立てましょう。
FXは日本時間の夕方から翌1時ごろまで取引が活発になることから、ビジネスパーソンでもデイトレードができます。ただし、食事や休みを取りながらになるため、常にパソコンの前でチャートを監視するのは難しいでしょう。
このような人は、1時間足でもはっきり認識できる支持抵抗帯でエントリーする場所をおおまかに決めておき、その付近に価格が到達したら5分足か15分足でエントリータイミングを図るのがおすすめです。例えば、先に紹介した一目均衡表の転換線が基準線を上抜けたタイミングはわかりやすい反転シグナルの一つです。移動平均線を応用したMACDのクロスでエントリーのタイミングを見極める手法も人気があります。
スイングトレード
スイングトレードは数日から数週間ポジションを保有することから、日足や4時間足など長めのチャートを使って相場分析を行い、ポジションを取ることになります。この時間軸になるとテクニカル分析だけではなく、適度にファンダメンタルズ分析も取り入れたほうがよいでしょう。
スイングトレードの方法はさまざまですが、エリオット波動論は上級者に向いています。エリオット波動はトレンドの動きが5波動、調整の動き(押し・戻り)が3波動で構成されるという理論です。上昇トレンドならば、高値が3つできた後に調整に入り、2つの安値を付けてからトレンドに復帰するというものです。
このサイクルを利用することで、大きな値幅が取れるタイミングでポジションを取りやすくなります。特にトレンド第3波は値幅が大きく、保有し続けることで第5波も期待できることから、この波動だけ狙う手法を採用している人も多くいます。
長期トレード
長期トレードは相場の大きな流れを読むことが非常に重要です。長期トレードになると、投機的な売買が影響を与えることは少なくなり、実体経済が為替相場に織り込まれています。そのため、ファンダメンタルズ分析によって将来の相場の方向と価格のターゲットを予測することが重要です。
長期トレードにおいては、スワップポイントによって利益を得る手法もあります。スワップポイントは2国間の金利差で生じる利益です。例えば、メキシコペソのように高金利の通貨と日本円のように低金利の通貨ペアにおいてメキシコペソを買うと、保有している間、日々スワップポイントが発生します。
上級者になると為替差益とスワップポイントの2つを狙えます。また、価格が変動しなくてもスワップポイントを受け取れれば利益になるため、動きの少ない相場でも有効な手法です。
FXで自分に合ったトレード手法を見つけるコツ
どのトレード手法を選べばよいのかわからない人は、まずはチャートを監視できる時間帯から手法を絞り込んではいかがでしょうか。また、現在のトレード手法に何らかのストレスを感じている人はトレード記録を見直してみましょう。
トレードする時間帯を決める
トレード手法は自分のライフスタイルに合ったものを選ぶべきです。例えば、オシレーター系のテクニカル指標を用いたスキャルピングを学んだとしても、集中してパソコンの前に座っていられる環境がなければ成績は安定しないでしょう。仕事が忙しいビジネスパーソンなら、スマホから事前に注文を出しておき、逆張りの指値買い(売り)や、順張りでのブレイクアウトの逆指値買い(売り)などが可能な、長めの時間軸のデイトレードまたはスイングトレードなどが向いています。
監視時間を少なくしたいなら、長期トレードがおすすめです。ファンダメンタルズ分析に時間をかける必要はありますが、1日何度もチャートを監視する必要はありません。また、ロンドン・フィキシングや仲値公示など、特定の時間帯を選んでトレードする手法もあります。
いずれにしても、自分がトレードに集中できる時間を考慮してトレード手法を絞り込むことが大切です。長く勝ち続けられるトレーダーになるためにも、自分のライフスタイルに合ったFXのトレード手法を選びましょう。
トレード記録で分析する
自分に合ったFXのトレード手法を見つけるために、毎回トレードを記録する習慣をつけましょう。トレード記録が重要な理由は、手法に優位性があるか実際のトレードで確認できることです。手法が機能する条件を絞り込めれば、さらに勝率の高いトレード手法に改良することもできます。
もう一つの理由は、トレード手法が自分の性格にあっているかチェックできることです。例えば、オシレーター系のテクニカル指標を使っているものの、判断に迷ってエントリーできなかったトレードが多かったとします。こうした場合は、例えばもっと長い時間軸のチャートを使って判断時間に余裕を持たせることや、反転を確認した後にエントリータイミングを検討できる順張り手法に転向することなどが検討できます。心理面も含めてトレード記録を分析してみましょう。
FXで安定した利益を出すにはトレード手法が重要!
FXにはさまざまなトレード手法があります。トレードスタイルや分析手法、テクニカル指標などの組み合わせを考えると、自分にとって最適なトレード手法を選ぶことは、案外難しいものです。
手法選びに迷っている人は、まずトレードできる時間帯やストレスを感じにくいトレードスタイルを検討し、ある程度トレード手法を絞り込んでいきましょう。その上で徐々に実践トレードを行い、トレード記録を見直しながらトレード手法を調整していけば、自分なりの手法が確立できるはずです。