右も左も分からない超初心者の方向けのトレード方法
過去36年のトレード経験に基づいた、独自のチャート分析手法やトレード論を解説!
独自のチャート分析手法(「スパンモデル®」「スーパーボリンジャー®」「アクティベート時間分析®」等)による相場分析方法。過去36年に及ぶトレード経験に基づいた、メンタル面からのトレード論も公開しています。Twitter https://twitter.com/murphyFX
遅行スパンだけを使ったシンプルトレード
FXは、一見、分かりやすいと投資商品ということ、比較的少額から取引が出来るということもあって、多くの個人投資家の皆様が参入されています。
しかしながら、たまに、ビギナーズラックのお蔭などで上手くいくことがあっても、難しいと感じられるに至るまで、さほど時間は掛らないようです。
そもそも、FX等、投資商品というのは、初心者向けというものはありません。たとえ、少額の資金から始めることが出来ると言っても、その分、自分が持てるポジションが小さいだけであり、対象としているFXのマーケット自体は同じです。
「同じ」ということの意味は、金融機関等に勤務するプロのトレーダーにとっても、巨額な金額で世界中のマーケットを動かしている大手ヘッジファンドにとっても、いきなり取引を始めた超初心者にとっても、相手としているマーケットは全く同じだという点です。
そこには、ゴルフなどをプレーする際に存在する「ハンデキャップ」みたいなアドバンテージはありません。また、柔道やレスリングのように階級別に分かれているわけでもないです。つまりは、誰にとっても、対象としているマーケットは全く同じなのです。
一般の金融機関であれば、上司の裁量でもって、トレードに向いていそうな人間かどうかは、ある程度まで察しがつけられます。また、厳重なポジション管理、リスク管理が徹底されていて、個人が勝手に社内ルールを逸脱することは許されない環境に置かれています。その点、個人投資家は異なる環境にあります。
大した知識を身に付けないまま、いきなりマーケットに入り、我流でポジションを取られる方、また、お金儲けにだけ関心が向き、自分のスタイルやトレードのルール作りをしないまま、トレードし続ける方などがおられます。リスク管理やポジション管理についての認識度合も低いまま、トレードを始めてしまう人もいます。
また、個人の場合、リスク管理については、プロの「雇われディーラー」と違い、すべて自分で自分を管理しなければならない点が大きな違いです。このような環境の下では、失敗トレードを行う確率が格段に高まります。
したがって、特に、超初心者の方にとって大事なことは、管理の基準、ルールをどれだけ簡素化するか、シンプルにするかです。つまり、トレードを行う際のルール、判断基準をシンプルにすることこそが要点となります。
そこで、今回、もっともシンプルな相場判断、トレード判断の為のきわめてシンプルな手法についてお話してみたいと思います。
それは、「遅行スパンだけを使った判断、トレード」です。
具体例
このチャートは、ドル円の5分足に遅行スパン(26単位)を表示させたものです。なぜ、5分足を表示させたかと言うと、日中トレード(デイトレード)を行う場合、便利な時間軸だからです。
今回は、日中にて売買が完結するデイトレードの例を挙げていますが、時間軸を変更させることで、スイングトレードなどにも応用可能です。
添付の5分足チャートは過去12時間程度のドル円の動きを示しています。トレンドが生じている局面とは言え、5分足でも、12時間もの間、トレンド方向に変化がないことが見てとれます。それでいて、日中の波動の変化も分かるので、有効活用しやすい時間軸です。
そして、このチャートに遅行スパン(紫色ライン)を付加したものが、今回ご紹介するシンプルチャートです。
遅行スパンとは、ローソク足の終値を26本分過去に移行させた点を結んだラインのことです。例えば、直近のローソク足の終値は、添付チャート内の右矢印の箇所です。
そして、そのローソク足の終値を26本分過去に移行させたのが左矢印の箇所です。遅行スパンの判断方法は至極簡単です。
遅行スパンと同一の時間に位置するローソク足の上方にあるか、下方にあるかをチェックするだけです。遅行スパンの真上か真下にあるローソク足が、遅行スパンと同一の時間に位置するローソク足のことです。
たとえば、直近の遅行スパン(左矢印)は、ローソク足の上方に位置しているのが見てとれます。この場合、相場は「買い優勢」と判断します。上昇トレンドや上昇基調と判断しても構いません。この状態の遅行スパンを「陽転している」と言います。
一方、遅行スパンがローソク足の下方に位置していると、相場は「売り優勢」と判断します。下落トレンドや下落基調と判断しても構いません。この状態の遅行スパンを「陰転している」と言います。
- 遅行スパンがローソク足の上方に位置⇒買い優勢、上昇トレンド
- 遅行スパンがローソク足の下方に位置⇒売り優勢、下落トレンド
このように、遅行スパンは、相場の基調トレンド方向を瞬時に教えてくれます。相場に入る際に、相場のトレンド方向が分かるだけでも大変助かります。
遅行スパンがローソク足の上方に位置していれば買い優勢ですから、買いポジション、つまりロングポジションを持つ一方、遅行スパンがローソク足の下方に位置していれば売り優勢ですから、売りポジション、つまりショートポジションを持つことが推奨されます。
添付チャートのケースでは、概ね、遅行スパンがローソク足の上方に位置しているのが見てとれます。したがって、買いポジションが優位な展開が続いていると判断できます。
このように、5分足とは言え、結構長い時間の動きを判断することが出来ます。
なお、私がいつも申し上げていることですが、1時間足などで大局観を把握した上でこの5分足を利用する方が、より、難を少なくしてトレードすることが出来ることは言うまでもありません。
ところで、円枠1から3の局面では、遅行スパンがローソク足に絡んで推移しているのが分かります。それぞれの局面を簡単に見てみましょう。
円枠1 遅行スパンがローソク足に接触しながら上昇する場面
陽転、つまり、遅行スパンがローソク足を上回って推移していたのが、ローソク足に接触しながら、上昇する場面です。
このように、陽転している遅行スパンがローソク足にぶつかるタイミングでは、ローソク足がサポートの役割を果たすことが多いです。したがって、買いのタイミングと判断して良いです。
もし、遅行スパンがローソク足を下回る、つまり、陰転していけば、買いのポジションをやめる、つまりは、手仕舞うということになります。
このように、上昇トレンドの場合は押し目買い、そして、下落トレンドの場合は、戻り売りのタイミングを把握することが出来れば、有利なコストでポジションを造成することができます。
その後は、利食いをどこで行うかは、デイトレードのケースであれば、相場の状況を見ながら、あまり深追いしない程度に、10ポイントでも20ポイントでも、確実に利食いを行っていけば良いでしょう。
また、どこで止める、手仕舞うかのエグジットのルールさえ決めておけば、損失は限定的となります。この止める、手仕舞う判断基準は、上で述べた通りとなります。
円枠2 遅行スパンがローソク足に絡んで推移するレンジ相場
遅行スパンがローソク足に絡んでいる場面です。このように遅行スパンがローソク足に絡んで推移する場合、相場が揉み合い、レンジ相場の状態にあると判断します。
すなわち、上昇力が減退し、かといって、下落トレンドに入るわけでもなく、方向を模索している状態だということです。ですから、ポジションサイズを減らして様子見するのも良いでしょう。
ただ、ここでのポイントは、遅行スパンが陰転、つまり、ローソク足を下回っていないことです。陰転しない限りは、基本的には、それまでの陽転、つまりは買い優勢の地合いに変化がないと読むことが出来ます。その意味では、押し目買いのタイミングと判断することもできます。
もし、遅行スパンがローソク足を下回る、つまり、陰転していけば、買いのポジションをやめる、つまりは、手仕舞うということになります。
円枠3 遅行スパンの向きは下落方向というより横這い傾向
やはり、遅行スパンがローソク足に絡んでいる局面です。局面2に似ているとも言えます。もっとも、この局面では、ほんの僅かの間とは言え、遅行スパンがローソク足を下回る場面が見られました。
それでも、遅行スパンの向き自体は、下落方向というよりは、横這い傾向にあることが見てとれます。このような場合は、慎重さが求められるものの、陰転という判断を下す必要まではないと考えます。
以上、ローソク足と遅行スパンだけの、究極のシンプルチャートをご紹介しましたが、トレードにおいては、「咄嗟の判断」が必要なだけに、今回、ご紹介した手法は、とりわけ、超初心者の方にとっては、有効かと思います。
初心者の方が陥りやすい失敗は、値頃感からの買いや売りです。具体的根拠のない判断基準で売買することなく、最低でも、遅行スパンだけを味方につけることで、相場と友達になってトレード出来るようになるはずです。
冒頭のタイトルに書いた通り、右も左も分からない超初心者の方が、まずは、知って頂きたいのが、この遅行スパンであることを強調したいと思います。
以上、「右も左も分からない超初心者の方向けのトレード方法」をテーマに簡単に解説しました。
この記事はマーフィーの実践トレード・コーチングの掲示板「トレードスクール」より抜粋しています。