利回りで判断は危険 バフェットも失敗した投資心理の罠

今の時代に通用しない
多くの投資家は配当や利回りで投資判断をします。
昔から投資は配当や利回りが高い「株や債券や不動産」を保有することが王道と言われてきたからです。
しかし、近年、危険な罠が増えた上に、今の時代に通用しなくなってきている面もあります。
資産防衛が投資の目的になった
配当や利回りの良いものに投資するという考え方は昔から重視されてきましたが、そこに罠を仕掛けられることが増えてきました。
また、近年では配当・利回りを重視することでウォーレン・バフェットも一番美味しい分かりやすいゴールド投資を避けてしまった原因になっています。
2001年以降、配当のないゴールドがS&P500より大きく上昇していますし、今後もゴールドは上昇を続けるトレンドです。

上:ゴールド
下:S&P500
配当・利回り志向は平和な時には良かったものの、黙示録の時代(=激動の時代)は罠も増え、投資の目的も変化しています。
今の時代の投資の目的は資産防衛だからです。
株 配当の罠
高配当・高利回りが良いという思い込みは危険です。
配当志向が強い人への罠は次のようなものがあります。
①訳あり銘柄を掴む
高配当の株には次のような訳ありもあります。
表面的な利回りに惑わされるのです。
株価下落によって利回りが上がっているだけ(一番危険)
株価が上がりにくい低成長の可能性(見落としがち)
減配・無配リスク(業績悪化が原因で同時に株価下落)
過度な配当で自己資本が減り破綻リスク(タコ足配当)
②バランスを崩す
インカムゲイン(配当)に拘る人は、将来的な資産価値の増加(キャピタルゲイン)を考慮しないことが多いです。
視点が利回りに偏ることで投資バランスが崩れます。
投資判断には、次のような視点も重要ですが、抜けやすいです。
企業の将来性
業界の将来性
経済全体の動向
流動性(売買のしやすさ)
リスク許容度
配当・利回り以外の多くの要素を総合的に考慮する必要があります。
分かりやすいゴールド急騰相場に乗れないことも起こります。
③暴落に付き合う
配当志向が強い人は保有することが目的になります。
買わないと配当が無いし
売ってしまうと配当が無くなるからです。
従って高値でも買い、暴落しても損切りできず持ち続け、大きく資産を失うことになります。
ウォーレン・バフェットの失敗
ウォーレン・バフェットはゴールド嫌いで有名なのですが、その理由はゴールドには配当がないからです。
しかし、2020年にウォーレン・バフェットはゴールドの上昇を見てゴールドを買いたくなりました。
その時にゴールドを買う代わりにカナダの金鉱山大手バリック・ゴールド(Barrick Gold Corp.)の株を買ったのです。
配当があるからです。
しかし、買って1年ほどで全て売却しました。
金鉱山株はゴールドに比べて上昇しないからです。
結局、バフェットは一番美味しいゴールドの上昇には乗れませんでした。
バフェットは、株を売って現金で置いておくような状況でも3ヶ月国債を買うか6ヶ月国債を買うか悩むほど、配当・利回りを重視しつつリスクも考える人です。
そしてバフェットは毎回のバブルの天井で大胆に株を現金化し金融危機で株暴落すると買い戻すことを繰り返して大きな資産を築いてきました。
このように鋼柔使い分けるバフェットもゴールド上昇の恩恵を受けなかったのです。
ちなみに、現在、バフェットは過去最高に保有株を売却し、現金を積み上げて暴落に備えています。
債券 利回りの罠
高利回り(ハイイールド)の債券ほど危険な債券です。
破綻の可能性が高いジャンク債は高利回りです。
サブプライムローンのように
「リスクが高いローンを集めるとリスクが低くなる」という間違ったロジックで
「ローリスクで高金利」という詐欺的商品が組成されました。
100年に一度の巨大な金融危機のリーマンショックの発端がこのサブプライムローンの破綻です。
同じことが繰り返されています。
2025年9月10日、テキサス州のサブプライム自動車ローン会社が突然破綻しました。
ローリスクで高利回りに騙されないように
ファンド 利回りの罠
毎月分配型ファンドという毎月分配金を受け取れることをアピールしているファンドがあります。
この分配金は運用益を分配しているのではなく元本を分配金に回していることが多く、毎月元金が目減りしていくことが多いです。
配当といっても元本が目減りすること(タコが自分の足を食べている状態)が問題視されたものの、今でも根強い人気があります。
毎月分配型ファンドは配当志向が強い人に買わせるために組成されたファンドです。
不動産 利回りの罠
利回りの良い不動産物件には次の問題が隠れているかもしれません。
家賃が本来の水準より高い
需要が低い・空室リスクが高い
ランニングコスト・修繕費などが大きい
立地が悪い
不動産価値が低い
流動性が低い(売却しにくい)
具体的には次のような事情がある物件であることは多いです。
最初だけ高い家賃で満室にして売り、買った直後から借主がどんどん出ていく
大学の学生用のアパートだが、大学が移転するので需要が激減する
大規模修繕が必要で、その費用が膨大
特に、地方物件や築古物件に、このような訳あり高利回り物件は多く、人口減少やメンテナンス不足による収益急減リスクがあります。
不動産投資物件の場合、その価格は
利回りだけで判断(収益還元法)されることが多いですが
土地と建物の価格を積算する積算法(原価法)
取引事例を参考にする(取引事例比較法)
の3つで判断することが大事です。
土地勘がないエリアの投資不動産を利回りに惹かれて購入する人が多いのですが、それは危険行為です。
不動産投資とは不動産事業であることをしっかり認識することが大切です。
その時々に一番美味しい投資をする
利回りに捉われず、その時々に一番美味しい投資をすることが大切です。
ゴールドは金利が付かないことから、ウォーレン・バフェットのように嫌う人も多いですが、今の時代はゴールドが最高の投資先だと判断しています。














