値動きは相場で数少ない事実の情報
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
FXでは「もしかして天才?」(笑)と思うくらい調子がいい時があったりします。
こうした時は自分のテクニカルがピッタリとハマっているときで、自分のシナリオ通りにマーケットが動いているように思えます。こうした経験をされたことのあるトレーダーの方も多いのではないでしょうか。
しかし冷静に振り返ると、テクニカルがハマるには理由があります。
私はテクニカルに基づくトレンド・フォローのスタイルなので、相場の流れが明確になるときに、その方向にポジションを取ります。トレンドの発生は、需給の転換点を超えることで始まります。
買い手が優勢となる転換点と、売り手が優勢となる転換点の間がレンジ相場で、レンジの中では需給が偏らないので相場は動きません。このため、レンジ内では上がったと思ったら下がったり、下げ始めたら戻してしまう、ということが起こります。
需給がどちらかに傾くと相場にトレンドが発生します。この流れに沿って戻り売りや押し目買いをすると、誰でも利益が得られやすくなります。
ファンダメンタルで方向性を考える人も、エントリーのタイミングにはテクニカルを使う方が多くいます。ファンダメンタルズは、現在の値段を考慮せずに方向を考えるので、取引タイミングは示してくれないからです。
トレンドが出ているときに順張りするのなら、一目均衡表でも、移動平均でも、MACDでも、何でも上手く機能してくれます。冒頭のようにトレードが上手くはまり、調子に乗って「もしかしたら・・・」と思うのは、こうした場面でしょう。
つまりトレンドが明確でマーケットに大きな流れができているときは、その流れに従っていればトレンド系のテクニカル指標はハマるように機能するのだと思います。Trend is friendと言われる通りです。
そして、トレンドを教えてくれるテクニカルは、すべて相場の値動きを元に計算されています。だから私は値動きに注目しています。
値動きは相場で数少ない事実の情報です。憶測や思惑、戦略などではなく、「事実」ということが重要です。
値動きの仕組みを理解することは、ファンダメンタルズを使う人にも、様々なテクニカルをつかう人にも有益だと思います。