世界が一番恐れる円キャリートレードの巻き戻し

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世界が恐れる円キャリートレードの巻き戻し
今、世界の相場市場が恐れているのが、円キャリートレードの巻き戻しです。
円キャリートレードの巻き戻し
=ドル/円の買いポジションの巻き戻し
=ドル/円の売り
=ドル/円の下落・暴落
=急激な円高
金融危機になると、市場に大量に積みあがったドル/円の買いポジションが一斉に巻き戻されるので、ドル/円の暴落になります。
現在、ジリジリとドル/円下落トレンドの動きですが、
このまま下落が続くと急激に大量の円キャリートレードの巻き戻しが始まります。
金融危機が発生するとドル/円は暴落しますが、
ドル/円が暴落すると金融危機になります。
ドル/円の下落は金融危機の先行指標であると同時に金融危機のトリガーなのです。
円キャリートレードとは
円キャリートレードには大きく分けて2つあります。
①投資全般の円キャリートレード
低金利の円を借りて、それを外貨に換えて運用する取引を円キャリートレードといいます。
外貨に転換後は海外の債券、株式、ゴールドや原油などの商品先物、不動産などで運用します。
②為替の円キャリートレード
「ドル/円の買いポジション」のことも円キャリートレードといいます。
「ドル/円の買いポジション」とは円で借りてドルを買い保有している状態だからです。
同様に豪ドル/円、ニュージーランド/円、カナダドル/円などの買いポジションも円キャリートレードです。
円キャリートレードの巻き戻しとは
円キャリートレードを行なっていた投資家が取引を解消することで今迄の反対売買が発生し、一時的にドル/円の下落(=円高)に向かうことを円キャリートレードの巻き戻しといいます。
ドル/円の買いポジションの手仕舞いするために、
ドル/円を売ることを巻き戻しと表現します。
ドル/円の下落が大きいと売りが売りを呼び、ドル/円は大暴落します。
大量の円キャリートレードの巻き戻しが発生する時は金融危機の時であり、ドル/円は大暴落します。
現在の円キャリートレードの詳細
現在の2つの円キャリートレードについて解説します。
①投資全般の円キャリートレード
今、日本は世界に大量の低利の投資資金を提供しています。
2022年以降、世界各国はインフレ対策として政策金利を上昇し続けてきました。
米国もドルの政策金利を上昇し続け、ドルは高金利通貨になりました。
しかし、世界各国の金利が全て上昇してしまうとバブルが崩壊してしまうために日本だけ低金利に据え置かれることになりました。
世界に低利で投資資金を提供するためです。
もちろん、日本もインフレですが、外圧を受けて利上げできなかったのです。
利上げできなかったのは今回だけではありません。
前回、ドルの政策金利を上昇させた時も円は低金利で据え置かれました。
ドル/円は
2021年に100円近辺から上昇開始し
2022年以降、日米金利差が拡大していったので
右肩上がりの上昇が続きました。

ドル/円 月足
世界の投資家は低金利の円を借りて、ドルで米国株を買ったり、ドル/円の買いポジションを持つことを進めてきました。
皆が低金利の円を借りて投資資金としたのです。
ドル/円が上昇したことで日本株も上昇しました。
円安だと日本の輸出関連企業は業績が良くなるからです。
②為替の円キャリートレード
2021年以降、ドル/円は100円近辺から右肩上がりに上昇してきたので
ドル/円の買いポジションを持つだけで、
キャピタルゲイン(売買差益)と同時に
スワップ金利を毎日受け取ることができました。
ドル/円が右肩上がりの時に
ドル/円の買いポジションを持つのは
分かりやすい美味しい投資です。
そのため、世界中の投資家が高金利通貨のドル/円の買いポジションを持ったので、ドル/円の買いポジションも巨大になりました。
右肩上がりが終わろうとしている?
円キャリートレードの今後の動きを予測するには次の2つを見ることになります。
①ドル/円
②金利
①ドル/円
世界の金利が上昇し、日本円だけが低金利だったことから
巨大なドル/円の買いポジションが溜まっている状態です。
現在、ドル/円が右肩上がりから右肩下がりになりそうな気配です。
ドル/円が高値から少しさげているということはドル/円の買いポジションを持った一部の人たちは手仕舞いをしています。
つまり円キャリートレードの一部は巻き戻しになっています。
金融危機が発生するとドル/円は暴落しますが、
ドル/円が暴落すると金融危機になります。
ドル/円の下落は金融危機の先行指標であると同時に金融危機のトリガーになります。
②金利
2024年8月1日から日銀が0〜0.1%としていた日本の政策金利を0.25%に引き上げたことから、日本株・日経225は暴落しました。

日経225 日足
たった0.25%に政策金利を上昇させただけで、他に材料がないのにブラックマンデー以上の株の暴落だったのです。
その時の衝撃ゆえ、日本政府はインフレが進んでも金利上昇に極度に慎重になっています。
日銀の利上げのタイミングが悪かったこともありますが、
この暴落は恐らく、世界の巨大な投資資金が日本に金利を上げさせないための脅しのようなものだったと思います。
現在、日本の政策金利は上げてなくても長期金利の上昇が顕著です。
特に10年国債より30年国債の利回りが急騰しています。
日々の金利の動きも乱高下して非常に不安定です。
米国も政策金利を下げたものの長期金利は上昇気味です。

30年日本国債利回り 月足

10年日本国債利回り 月足

10年日本国債利回り 日足

10年米国債利回り 月足

日本の政策金利

米国の政策金利
国債が売られている
米国も日本も政策金利と無関係に長期金利が上昇している原因は国債が売られているからです。
国債が売られると金利上昇
国債が買われると金利下落
という関係です。
米国も日本も国債が売られているということは
米国も日本も国の信認が低下していることを意味します。
また、同時に政府が金利をコントロールできなくなっていることを意味します。
危険な兆候・アラートだといえるでしょう。
日本の長期金利が上昇していることから住宅ローンも上昇しており、不動産価格の下落要因です。
米国は金利を下げないと破綻する
未償還の米国債は約28兆ドルあり利払いだけでも現在年間1兆ドルを超え、最大の支出項目になっています。
社会保険料より、防衛費より、利払いの方が多く利払い額は第二次大戦時レベルを超え、過去最高水準です。
国債の利払いのために新規国債を発行しているようなものなので利払いで米国が破綻するとも言われています。
実際には10年国債が20年国債になるなどのように対処するのでしょうが、それは国家破綻状態です。
政府は国債の金利を下げたいのですが、反対に金利は上昇しています。
米国は
金利を下げないと国家破綻
金利を下げると円キャリートレードの巻き戻し
どちらも危険です。
日本も
金利を上げないとインフレ
金利を上げると円キャリートレードの巻き戻し
どちらも危険です。
現在、薄氷の上を歩いているのです。
リーマンショック時も円キャリートレードの巻き戻し
リーマンショック時も巨大な円キャリートレードの巻き戻しがありました。
このチャートはリーマンショック時の豪ドル/円の日足チャートです。

豪ドル/円 日足
当時は豪ドルの金利が高く、円キャリートレードの代表が豪ドル/円でした。
豪ドル/円は104円から55円まで下落したのです。
為替でこれだけ大きく動くことは基本ありません。
当時も巨大な円キャリートレードのポジションが積み上がっていました。
円キャリートレードは誰でも簡単に参加できるため、この時も円キャリートレードは巨大に積み上がりました。
そして円キャリートレードの巻き戻しの結果、多くの投資家が大きな損失をだしたのです。
当時、駒澤大学が約154億円もの巨額損失が発生したことが報道されました。
多くの大学や企業や金融機関が投資で大損失となったのです。
市場は楽観的
株式市場に参加している人は楽観的な人ばかりです。
株の暴落を想定外とすることで、毎回、突然の株の暴落で大きな損失となる人が多いです。
アラートが点灯していても認識できません。
もちろん、アラートが点灯してもすぐに暴落ということではありません。
買いポジションにはストップロスが必須です。
ゴールド
今回のように、日米金利差が開いていく中、ドル/円の右肩上がりの上昇の時にドル/円を買うのは分かりやすい美味しい投資です。
個人的にはドル/円の上昇と
ゴールド/ドルの上昇の両方の上昇を得るために
ドル/円を買う代わりに
ゴールド/円の買いポジションを持ちました。
ドルもゴールドも上昇したのでゴールド/円はドル/円以上に美味しい投資でした。
「ドル/円」×「ゴールド/ドル」=ゴールド/円
金融危機になるとゴールドも下落するので短期で買った人はストップロスを上げていくトレールで利益確定です。
まとめ
円キャリートレードの巻き戻しに備えておくことが大切です。
今度のドル/円、日本円金利、米国ドル金利に注目です。