初心者のための株式投資
株式投資をはじめるために口座を開設したけれど、「どの株を買えばいいのかわからない」「損をしそうで怖い」と悩んでいる人もいるかもしれない。あるいは、「買った株が値下がりしてしまい失敗してしまった」という人もいるだろう。
新型コロナウィルスによって、世界経済の先行きが不透明になった時には、株価はおおむね値下がりした。株価は会社内の問題だけでなく、金利、海外市場、世界経済などによって大きく左右される。
「値上がり益」「配当金」「株主優待」などの利益が得られる点が株式投資の魅力だが、コロナショックでもわかるように、値下がりするリスクも抱えている。
今回は、リスクに備えるために知っておきたい基本知識について解説する。
いくらから投資する?投資の目安とは
基本的に投資は、住居費や光熱費、食費などの生活に必要なお金を除いて残った自由に使える資金で行う。例えば、月に3万円貯金できる余裕のある人は、そのうちの1万円から2万円を投資に回せる。
投資は、値下がりする可能性もあるため、3万円すべてを注ぎ込むのではなく、余裕を持って行うのが理想だ。では、株式投資の場合、最低いくらから買えるのだろうか。
株式投資はいくらから買えるのか?
結論からいえば、株は数百円から購入できる。まずは、株式の購入価格の仕組みをおさらいしよう。
株式の購入価格は、株価×株数で決まる。各銘柄によって、価格はまちまちだが、基本的に株数は100株セットで販売されている。このセットを単元株と呼ぶ。実際に必要な資金は、「株価×100株+手数料」となる。
例えば、家電量販店大手のコジマ【7513】の場合 株価は414円(2020年5月15日現在)。よって、購入価格は「414円×100株+手数料」で、4万1,400円と手数料になる。
手数料は証券会社のプランによっては、約定金額(株取引が成立した金額)が1日50万円までなら無料になるケースもある。ネット証券会社の場合は、取引金額が5万円までなら50~100円くらいが相場だ。
参考までに、100株5万円以下の銘柄は約600銘柄ある。このなかから比較的人気の高い取引金額が5万円以下の銘柄をいくつか紹介しよう。
コジマ:最低投資額441,400円
権利確定8月
株主優待があり、株式数に応じて「株主優待券」の枚数が決まる。
ヤマダ電機:最低投資額:46,700円
権利確定3月末日・9月末日
株式数と保有年数に応じて、お買い物優待券の枚数が決まる。
コニカミノルタ:最低投資額36,800円
権利確定9月
株主優待として、100株以上で自社カレンダーが受け取れる。
単元株ではなく、10分の1の10株単位で購入できるミニ株投資や1株から購入できる単元未満株なら、さらに少額で取引可能だ。例えばLINE証券の場合、1株数百円から投資できる。ミニ株、単元未満株を取り扱っている代表的な証券会社を数社まとめてみた。
ほかにも、月々1万円から積立方式で株式を購入する株式累積投資(※以下「るいとう」)もある。るいとうを取り扱っている代表的な証券会社は次の通りだ。
ミニ株投資や単元未満株、「るいとう」は、証券会社によっては取り扱いしていない場合もある。1万円あるいはそれ以下で株式投資を検討しているのであれば、ミニ株投資や単元未満株、「るいとう」の取り扱いがあるかどうか確認してみよう。
少額でも資産を失いたくない!リスクを回避する投資のコツ
すぐには使わない貯金の一部とはいえ投資によって失われてしまうリスクはできるかぎり避けたいところ。株式投資は、株価の下落のほか、倒産、上場廃止などで投資資金が失われる可能性がある。
これらのリスクをなくすことはできないが、低く抑えることはできる。その方法が分散投資だ。分散投資には、銘柄の分散、地域の分散、投資の時間をずらす時間の分散がある。
銘柄の分散
自由に使えるお金が50万円あったとしても、1銘柄に50万円を投入するのは危険だ。各銘柄の値動きを確認し、異なる値動きをする銘柄を組み合わせて投資を行えばリスクを低くおさえられる。組み合わせておけば、銘柄Aの株が値下がりしても、銘柄Bの株が値上がりすれば、利益が出ることもあるからだ。
地域の分散
株式の銘柄によって値動きが異なるように、地域も分散させておくと価格変動のリスクを抑えられる。日本の株が概ね値下がりしていても、世界に目を向けると値上がりしている地域もある。分散させておくことで、他の地域の値上がりによって日本株で出た損失をカバーできる。
時間の分散
お金を同じ時期に分散してすべて投資にあてるのではなく、時期もずらして投資をするとよい。「るいとう」のように定期的に一定の金額を買い付けた場合、価格が高い時期には少なく、低い時期には多く買える。短期的に値下がりしても、長い目でみると、損失は少なくなる。
3つの分散を意識して投資をするだけで、損失を出すリスクは低く抑えられる。続いて、実際に損失が出ている銘柄についてどのように対処すればよいのか解説する。
値下がりしたときの対処法
値下がりしたときは、値下がりをしたときに株を買う「ナンピン買い」と、値下がりした株を売る「損切り」2つのやり方がある。値下がりした株をそのまま保有し続ける「塩漬け」もあるが、万一倒産して上場廃止になると株価は暴落する。
東証1部上場のレナウンが整理銘柄に指定され、上場廃止となる見込みが出ているというニュースは記憶に新しい。倒産以外にも、買収や合併が理由で上場廃止になるケースはあるが、この場合は株価が上昇することもありえる。落ち着いて成り行きを見ながら売却するのが望ましい。
それでは、株が値下がりした場合、リスクを最小限で食い止めるための「ナンピン買い」と「損切り」の仕組みを説明する。
ナンピン買い
株価が下がっている銘柄をさらに、買い増しして、平均購入単価を下げる方法。例えば、1株1,000円の銘柄を100株保有していたとする。500円に値下がりしたとき、さらに100株買い足すと、1株当たりの平均購入価格は750円になる。
もしも、1株900円になれば、利益を上げられるため、利益が出る可能性が広がるという考え方だ。この方法は、株価の相場が上がっているときに有効である。ただし、相場が下がっているときは、1株400円になる可能性もあり、この場合、損失が膨らむので注意が必要だ。
損切り
損失を抱えている状態で売却し損失を確定させる方法。あえて損をしているように感じるが、もう上がる見込みがないと思われる場合は早めに売ってしまい、損失を最小限に抑えるという考え方だ。
1つの銘柄に限定すると、損切りはマイナスでしかない。しかし、全体を見れば、損切りをしても資産全体としてはプラスになるケースは多々ある。
例えば、銘柄Aの利益が10,000円、銘柄Bの損失が5,000円だった場合、両方売っても5,000円は利益になる。銘柄Bの5,000円の損失を恐れて、上がる見込みもないのに保有しておくよりは、売ったお金を今後上昇が期待できそうな別の銘柄に銘柄Bに投資した方が、利益を得られる可能性は高い。
投資による収益は、売って利益を確定させることで増えていくものだ。売り買いを頻繁にしなければ、短期的に大きな利益は得られない。株式投資で成功し、お金を増やしている人の多くは、損切りを早い段階で行っている。
株が値下がりしたときの対処法を知り、資金にあった投資法の選択を
100万円の余裕資金がある人とこれから1万円毎月投資したい人では、同じ株式投資でも投資法は異なる。100万円の余裕資金がある人は、銘柄や地域を分散させ、タイミングをずらしながら投資を行うとよい。
また、まとまった資金がないものの、1万円毎月投資にまわせそうな人は、単元株ではなく、ミニ株(単元未満株)や「るいとう」の活用が適している。リスクを低く抑えつつ、資金状況にあった株式投資で資産を増やそう。