都合良くデータを切り取る印象操作…官製相場は危ない!
現在、日経225(日経平均株価)を目先の高値で「売りポジション」を持つと良いと判断していますが、前回、書きましたように、一般に日本では空売りが推奨されないため株式投資は常に買いばかりであり、その一番の理由は、政府が景気対策として株高にしたいからです。
日銀も大量に日経225を買っており、多くの人に株を買って欲しいわけです。株を買って欲しいため、日本株の長期投資が良いことをデータで示すケースがありますが、データは改ざんしなくても切り取る期間を変えるだけで、印象を大きく変えることができます。
例えば、日経225の過去10年のチャートを見ながら、日本株は長期投資が良いという説明がされることがあります。確かにリーマン・ショック後の金融危機の大底から上昇してきたところの10年間だけを見ると、素晴らしい実績に見えます。
これを見て日本株の長期投資は良いと思い、10年上がったのであれば、今後も上がり続けると考える人もいらっしゃると思います。
日経平均はピークの半分
ところが日経225の過去30年のチャートを見ると、1990年から20年間、長期下落相場が続き、10年前から反転上昇して現在、ピークのやっと半分ほど戻してきた程度です。1989年、日経225相場の天井価格3万8957円の半値は約1万9500円であり、天井価格と2008年の底価格6994円の中央値は約2万3000円です。
個人的には投資の基本は長期投資が良いと思っていますが、いつでも、どの投資対象でも、長期投資が良いからとバブルのピークという認識なく、タイミングを考えずに買いから投資をすることは、極めて危険だという判断です。
政府が株を買って株価操作していることを官製相場といいますが、株価は自然に任せることが大切です。なぜなら、株価操作されている相場は自然ではないためチャートが汚くなり、世界では投資対象として嫌われ、外国人買いが減り、上昇しにくくなるからです。
下落相場の場合も相場を買い支えれば支えるほど反転のタイミングは遅くなるので、下落トレンドは長引きます。日本株が1990年から20年もの長期下落相場になったのは、下落途中で政府が買い支えたことが原因のひとつです。買い支えしなければ、もっと早くV字回復したことでしょう。
また、官製相場でバブルを延命し、不自然にバブルを大きくすればするほど、最終的な暴落は大きくなります。相場の本質が分かってくると、相場は自然の一部であり、自然に任せることの大切さが分かってきます。