チャートは情報の宝庫!トレードで押さえておきたいチャート分析の基礎
利益を出し続けるにはトレードに何かしらの根拠が必要になる。そこで頼りになるのがチャート分析だ。チャートには相場を取り巻く全ての情報が織り込まれているという考え方があるように、チャートは情報の宝庫だ。チャートからの情報を分析することは確率的に優位性の高いトレードをする手助けになる。
今回は、チャート分析の基礎や具体的な分析方法を解説していく。
チャート分析には二種類ある
チャート分析の手法は、大きく分けて二種類にわかれる。一つ目がチャートそのものから情報を読み取り分析する方法だ。チャートからは市場の思惑や売り買いの攻防、相場のエネルギー状態など、実に様々なことが読み取れる。この分析方法を知っていると、チャートを眺めるだけでも優位性のあるトレードをするのに十分な情報量が得られるだろう。
もう一つのチャート分析方法は、テクニカル指標を使ったものだ。テクニカル指標とは過去の値動きを複雑な計算式を使って分析し、値動きの方向性や行き過ぎ感、今後の動きを予想する分析方法だ。とはいえ、自分でその都度計算するわけではなく、ほとんどのトレード業者ではチャートの中にテクニカル指標を描画する機能が搭載されているので安心してほしい。
チャート分析をするときは、この両方を組み合わせて分析するケースが多い。また、いずれの分析方法も多岐にわたり数多く存在するが、市場の参加者が利用しているメジャーな分析方法ほど機能しやすいといわれている。従って、基本的なチャート分析の種類をマスターしておくだけでも、トレードに十分活用できるだろう。
チャートそのものから情報を読み取る分析方法
ローソク足
まず、基本となるのがローソク足だ。ローソク足にはその時間の始値・終値・高値・安値の4つの情報が盛り込まれている。実体と呼ばれる部分とヒゲと呼ばれる部分で構成され、始値より終値が高ければ陽線、逆であれば陰線と呼ばれる。「ローソク足でチャート分析ができるのか」とお思いの方もいるかもしれないが、ローソク足には実に多くの情報が含まれている。
例えば、上昇局面で実体に対して上ヒゲが大きく伸びている場合は、下落転換のサインと捉えられる。また、ローソク足そのものの大きさで、相場の勢いを読み取ることも可能だ。
ローソク足を使ったチャート分析方法には日本古来の「酒田五法」や欧米由来の「プライスアクション」と呼ばれるものがあり、多くのトレーダーに活用されている分析方法の一つだ。
ダウ理論
ダウ理論はトレーダーなら必ず押さえておきたいチャート分析の基本とも呼べる王道の分析方法だ。ダウ理論には6つの理論が含まれているが、その中でもトレンドの判断にダウ理論を使っているトレーダーが多い。ダウ理論のトレンドの判断は実にシンプルだ。高値も安値も切り上がっている場合は上昇トレンド、高値も安値も切り下がっている場合を下降トレンドと定義している。
また、この法則が崩れない限りトレンドは継続していると考えるのが基本となる。これだけをおさえているだけでも、売りか買いか、もしくはどちらでもないかのトレードの判断に迷うことはなくなるだろう。
エリオット波動
エリオット波動とは、上昇局面ではチャートは5つの波動を描き、下降局面では3つの波を描く、という理論だ。ダウ理論をさらに発展させたもので、ダウ理論と組み合わせて使うとトレードのタイミングが取りやすくなる。
具体的にはダウ理論でトレンドの方向性が確認できたら、エリオット波動を使って、今の局面がどの場面にあたるのかの判断が可能になる。例えば、上昇トレンドでもエリオット波動の3波目であれば積極的にトレードできるが、5波目であれば様子見するなどの判断ができる。エリオット波動を知っているだけでも、無駄な安値つかみや高値つかみを排除できる可能性もあるだろう。
ライン分析
ライン分析とはチャート上の様々なポイントを線でむすんでチャート分析する方法だ。例えば、上昇トレンドの安値同士、下降トレンドの高値同士を結んだ線はトレンドラインと呼ばれる。この線を引くだけで、将来的にどのあたりで反転しそうかの予想ができるようになる。
他にも、よく価格が止まるポイントを水平線でむすんだレジスタンスライン、サポートラインと呼ばれるラインもよく利用される。レジスタンスラインやサポートラインは、意識される価格帯で価格が反転したり逆に抜けたりする動きを見て、相場の動きを予想することが可能だ。ラインを抜けると、その方向に価格が動きやすくなるという特徴があるため、その習性を利用したトレード手法も多く存在する。
チャートパターン分析
ランダムに動いているように見えるチャートでも、時に同じような形状を描くことがある。そのパターンによってトレードの判断をするのがチャートパターン分析だ。チャートパターンは大きく分けて、トレンドの継続を示唆するもの、反転を示唆するものに二分できる。
継続を示唆するものの代表的な例としてはトライアングルやフラッグと呼ばれるものが挙げられる。反転を示唆するものとしてはダブルトップ・ダブルボトム、ヘッドアンドショルダーなどがある。これらのパターンをチャート内に見つけられるようになれば、より優位性の高いトレードが可能になる。
テクニカル指標を使ったトレンド系チャート分析
移動平均線
テクニカル指標の中で最もメジャーと言っても過言ではないのが移動平均線だろう。移動平均線とは過去の一定期間の価格の平均値を計算してその値を線で結んだものだ。チャート上に表示させることで、移動平均線が上向きなら上昇基調、下向きならば下降基調であることが一目で判断できる。
計算に使う期間や価格情報にも様々なものが設定できるので、売買サインとして利用することもできる。長期移動平均線と短期移動平均線を両方表示させ、クロスしたところを売買サインとするゴールデンクロスやデッドクロスなどは有名なので、聞いたことがある人も多いだろう。
MACD
MACDは移動平均線をベースにより精度を高めた分析をするためのテクニカル指標だ。構成される要素はMACD線とシグナル線、ヒストグラムで構成される。MACDは実際の価格の動きに先んじてシグナルが表示される先行指標として愛好家も多いテクニカル指標だ。
基本的にはMACD線とシグナル線のゴールデンクロスやデッドクロスを売買タイミングとする。トレンドが発生している時には機能しやすいが、レンジやボックス相場では機能しにくいという点もあるので注意していただきたい。
ボリンジャーバンド
ボリンジャーバンドとは統計学を利用した価格の散らばりの範囲を計算して表示するテクニカル指標だ。ボリンジャーバンドを使うと過去の一定期間の値動きから価格がこの範囲に収まりやすいという傾向がわかるようになる。
バンドは帯のように表示され、バンドの幅がせまければそれだけ価格が変動する余地が低く、活発な値動きが期待できないことがわかる。また、計算上は±2σのバンド内に価格の約95%が収まるとされていることから、価格が大きく±2σから離れると反転するサインとしてとられる場合もある。
一目均衡表
一目均衡表は売り手と買い手のパワーバランスを見る指標と言われており、基準線、転換線、先行スパン、遅行スパン、雲と呼ばれる要素から構成される。まだチャートが形成されていない未来上にも分析結果が描画されるのが特徴だ。
一目均衡表ではローソク足に対する雲の位置からトレンドの判断が可能だ。売買サインとしては転換線と基準線のクロス、遅行スパンがローソク足を抜けるとき、ローソク足が雲を抜けるとき、などが利用できる。
また、雲は抵抗帯の役割をするので、厚みで抵抗の強さをはかったり、雲にローソク足がもぐるとトレードを控えたりするなどの判断としても使える。複雑に見えるテクニカル指標だが得られる示唆も多い指標だ。
RSI
売られすぎや買われすぎを測る指標がRSIだ。一定の期間の値上がり幅と値下がり幅を計算し、チャートの上昇の強さを数値化して、線グラフで表示する。グラフが70~80以上のゾーンに入ってくると買われすぎを表し、反転サインや売りシグナルとして使われることが多い。
逆に30から20を割り込むと売られすぎを表し、おなじく反転や買いシグナルとして利用される。ただし、急激な価格の動きの時はグラフの線が天井や底に張り付いた状態となる弱点もある。そのため、レンジやボックス相場では機能しやすいが、強いトレンド相場には弱い指標といわれている。
モメンタム
相場はエネルギーの拡散と収束を繰り返す性質があるが、拡散しているときは相場に勢いがあるため、大きな利益を狙いやすくなる。その相場の勢いを測る指標がモメンタムだ。
モメンタムでは0以下のゾーンから0以上のゾーンにグラフが突き抜けた時は買いサイン、逆に0以上のゾーンから0以下のゾーンに突き抜けた時は売りサインとして用いられるのが一般的だ。
また、グラフの角度によって勢いを測り、グラフが横ばいになってくれば勢いがそろそろ落ちてくると判断できる。MACDと同様、実際の価格の動きに先行してシグナルが出やすい指標の一つだ。
最後に…
相場で利益を出すためには優位性のあるトレードは必要不可欠だ。世界情勢や時事ニュース、マーケットの情報から価格の方向性を分析するファンダメンタルズ分析も優位性があるが、いち早く情報を得て売買に反映するのは個人投資家には難しい面もある。
その点、チャート分析であれば誰にでも平等に与えられた価格という情報で優位性のあるトレードが実行できる。もちろんチャート分析も万全ではないし、深く研究する必要がある。しかし、自分に合うチャート分析方法を手に入れればトレードの心強い味方になってくれるのは想像に難くない。
今回紹介したチャート分析方法はごく一部ではあるが、もしまだ試したことがないものがあれば一度トレードに取り入れてみてはいかがだろうか。