暗号資産の闇 FTX破綻
世界第2位の暗号資産取引所FTX破綻
米中間選挙の直後、11月11日に世界で2番目に大きい暗号資産(仮想通貨)取引所のFTXトレーディングが破綻しました。
日本の民事再生法に相当するチャプター11を申請しました。
創業者のサム・バンクマン・フリードSam Bankman-Fried氏(SBFとして知られる)はマサチューセッツ工科大学(MIT)卒で天才経営者と呼ばれていました。
SBF は29歳で約30兆円の個人資産を保有し、メタ社(フェイスブック)のマーク・ザッカーバーグ氏を越えたとして時代の寵児となりました。
画像は FTXアリーナ(FTX Arena)でフロリダ州マイアミ近郊に位置する屋内競技施設です。
SBFが組成した暗号資産である「FTXトークン(FTT)」は大きく価格上昇したものの、あっという間に破綻しました。
FTXの株価は急落(4時間足)
エンロン詐欺の再来?
担当の破産弁護士のジョン・レイ氏は、2001年に巨額の不正会計詐欺で経営破綻したエンロンの破綻処理で陣頭指揮を執った人です。
エンロンはデリバティブなどの高度な金融工学を使った大規模な詐欺で金融業界の信用を失墜させた悪名高い会社です。
弁護士ジョン・レイ氏の40年以上のキャリアで見た中で
「FTXの企業マネージメントは最悪」
と厳しく非難したほど、ずさんでした。
https://real-int.jp/articles/1883/
SBFは投資詐欺を行っていたことも指摘されています。
嘘の運用報告をして元本を返済に回して高リターンに見せかけ投資資金を集める典型的なポンジースキームといわれる詐欺です。
https://real-int.jp/articles/577/
米民主党とのつながり
また、SBFは周辺に政界につながる人たちがいたことから民主党との繋がりがかなり強く、民主党への献金額はジョージ・ソロスに次いで第2位です。
ロシアウクライナ戦争が勃発した時、SBFは暗号資産を使ったウクライナへの寄付の仕組みを作りました。
そしてバイデン政権による多額なウクライナ支援金が、FTXを経由してウクライナから米民主党に還流させ今回の中間選挙のCM費用につぎ込まれたとの指摘もあります。
FTXの破綻が、米中間選挙直後だったのは意味がありそうです。
闇が深い暗号資産
今回の破綻余波を受けて顧客資金の引き出しを停止する暗号資産取引所もあり、暗号資産業界の信頼は失墜しました。
ビットコイン他の暗号資産も急落しました。
業界最大手の取引所のバイナンスがFTXを買収しようとしましたが、FTXの内容を調べたところ買収しないことになりました。
暗号資産の基本は価値がゼロのものに価値を付けていく錬金術のようなものです。
ある日突然、価値がゼロになるのは当たり前の世界です。
勿論、真面目な人もいらっしゃいますが、有名な暗号資産を立ち上げた人が元詐欺師だということは業界内では一部の人だけの常識とされています。
暗号資産の不安定さ
ビットコインに次ぐ人気のイーサリアムも2017年6月21日に大量のイーサリアムの売り注文を受けて
317ドルから0.10ドルまで急落、(取引所によって異なります)
その後、数分で300ドル近辺まで上昇となりました。
流動性が低いのに大量の売りが出ることで極端に価格が下がることがあります。
暗号資産は詐欺や犯罪を防ぐことができない
暗号資産はその性質上、詐欺や犯罪を防ぐことは不可能だといえます。
それゆえマネーロンダリングや犯罪資金の支払いに使われることも多いです。
ブロックチェーンで追跡できるとされていますが、実際にはハッカーやネットの詐欺師たちの支払いは暗号資産での支払いになっています。
犯人が捕まるケースはあるものの、2018年に起きた有名なコインチェック(Coincheck)事件では暗号資産ネム(NEM)がハッキングされ盗まれ、犯人は分からずじまいです。
追跡したものの犯人が分かりませんでした。
暗号資産は投機
暗号資産は危険だから一切触らないというのも知恵です。
大きく利益になるタイミングはあると考えて
無くなっても良い資金内で遊び感覚の投機とするのも知恵です。
暗号資産の「ある日突然、価値がゼロになる」は常識なので、それを理解して取引しないことも取引することもインテリジェンスです。
エンロンのような不正・詐欺については歴史的に繰り返されてしているので理解しておくために、次の記事をお読みください。
https://real-int.jp/articles/1883/