米中緊迫…人工島に米国務長官は「あらゆる手段を尽くす」
国際法では高潮時に全てが海面下に水没する岩礁を埋め立てしても、領海や排他的経済水域の根拠となる島とは認められないと定められていますが、中国は岩礁に大量の土砂を投入し埋め立てました。
そして滑走路、港湾設備、ミサイルなどを配備し軍事拠点化し、他にも非軍事施設として巨大灯台、気象観測所、海難救助施設などを建設してきました。
そして20年には、これら実効支配している人工島に行政区を設置すると発表し、中国固有の領土であることを主張しました。
こうして中国は南シナ海のほぼ全域の海洋資源権益(石油、ガス、漁業資源に関する権利)を有すると主張しています。
他国の領土を支配するのではなく領土の造成による領有権の主張です。
中国が世界の覇権を握るために海洋帝国となる必要があること、海洋資源を手に入れること、一帯一路構想の実現が目的です。
人工島に対しての裁判ではオランダ・ハーグの仲裁裁判所判決では、「国際法上の法的根拠がなく国際法に違反する」としています。
これに対して米国は今までも違法という認識でしたが、中国と他国間の領土問題に対して積極的に介入することは控えてきました。
ところが、今月15日、米国務長官であるマイク・ポンペオ氏が南シナ海での中国の主張は違法とし米国は積極的に対抗することを表明しました。
米国務長官という立場で、「中国に領有権の主張を侵害されている世界中の全ての国を支援する」「あらゆる手段を尽くす」と記者会見で表明したのです。これは、南シナ海だけではなく、インドとの国境争い、尖閣諸島も含まれています。
このように米国は急激に態度を硬化させています。
また、米国は中国共産党員とその家族、ファーウェイなどのハイテク企業の社員に対して入国制限するとしています。
中国アリババは上場廃止危機
米国の中国企業の上場廃止法案は5月に上院を通過し、今は下院が審議しています。
中国企業は長年、米国の開示ルールを無視し監査拒否を続けているので、米市場に上場するアリババなど中国企業は上場廃止になる可能性が高く、その時は株価が乱高下しそうです。
中国は新型コロナウイルスや洪水で経済的ダメージが大きい上、米国の態度硬化は金融危機再燃のトリガーが中国になる可能性が高くなっています。
今は、突然の株の急落があっても大丈夫なようにしておくことが大切です。
日刊ゲンダイWEB版にも掲載