年齢別にチェック!自分にぴったりの投資スタイルとは?
そのほか、数ヶ月や数年の単位で金融商品を保有する中長期投資や1日で売り買いを繰り返すデイトレード、数日間で売り買いするスイングトレードなどもある。
最適な投資スタイルは、自分の年代 や資産状況、目的に応じて異なるだろう。それぞれの年代別におすすめの投資スタイルをまとめてみた。
20代はゲーム感覚で投資:リスクを恐れずリターンを狙う
20代の強みは投資期間が長いことである。運用期間が長く確保できる20代は、資産形成には有利な年代だ。老後の生活はまだまだイメージしづらくても、結婚や住宅購入など将来へ向けた資産は今後必要になると予想される。とはいっても、運用できるまとまった資金がない人もいるかもしれない。そんな人は、給料の一部をコツコツと積み立てる、積立投資がおすすめだ。
わかりやすい仕組みの少額投資をゲーム感覚ではじめられるポイント投資も注目されている。どれだけ増やせるのか、リスク覚悟で思い切った投資にチャレンジできるのも20代だからこそできることだ。FXや仮想通貨は、高い利益を得られる可能性があるが、元本を超える損失が発生する可能性もある。少額からはじめられるが、ある程度資産に余裕のある人に向いている。
そのほか、長期運用で安定したリターンを得られる外国株式、リスクは高いがリターンが期待できる株式型の投資信託もある。REIT投資も候補の一つに入れるとよい。REIT投資は、投資者から集めた資産で不動産へ投資し、得られる賃貸料や不動産の売買益を投資者に配当する金融商品のことだ。物件の取得、運営は専門家が行い、多様な物件、地域に投資するためリスクが分散される。REITは、数万から数十万程度ではじめられる。
20代におすすめの投資スタイル
・これから資産をつくるなら長期投資や積立投資
・投資になれてきたら、外国株式投資、株式型投資信託、REIT投資
・資産に余裕があるなら、仮想通貨、FXなどの短期投資
30代は長期投資:複利効果で堅実な資産形成
30代は収入が増えてくる年代だ。一方で、子どもの教育資金、マイホームなどのまとまった支出が増えはじめる年代でもある。生活資金にあてるお金が増えるため、貯蓄をすべて投資にまわさないよう注意が必要だ。投資は家計に負担にならない範囲内で少しずつ行うのが望ましい。まずは、支出と収入のバランスを見ながら、毎月いくらなら運用にあてられるか考えてみよう。
20代同様に、時間をかけて資産運用を行えるため長期投資に向いている。積立タイプの投資信託やつみたてNISA、個人型確定拠出年金(iDeCo)をはじめるのもおすすめだ。毎月、給料のなかから無理のない範囲で定額を積み立てることにより、複利効果が期待できる。
複利効果とは、運用で得た利益を再投資することで、時間をかければかけるほど、お金が増えていく仕組みだ。たとえば、年3%の収益が期待できる商品を毎月2万円、約10年積み立てた場合、10年目には、毎月2万円貯蓄へまわした場合と比べると、約39万円増える計算になる。さらに、20年目の差は176万円、30年後の差は445万円になる。(年1回の複利計算の場合)
資産に余裕のある30代は、積立投資をしながら、高配当株や優待株を購入し保有しておくのもおすすめだ。ゆっくりではあるが、数年後価値が大幅に上がる株もなかにはある。
30代におすすめの投資スタイル
・資産づくりなら長期投資や積立投資
・つみたてNISA、個人型確定拠出年金は年3%利回りを目標に
・資産に余裕があるなら、高配当株、優待株を購入し中長期投資を行う
40代からの増やす投資:貯金から投資の配分を少し増やして
老後2,000万円問題もあり、定期貯金の増額を検討している40代も多いだろう。40歳であれば、65歳まで25年間あり、今からでも毎月5万円貯金すれば1,500万円の資産形成が可能だ。
さらに貯蓄をする余力があるなら、つみたてNISAや個人型確定拠出年金(iDeCo)も活用したい。国債や保険も安全性は高いがそれほど資産は増えないため、積立投資がおすすめだ。積立投資の標準な利回りは3%~5%である。毎月5万円、年5%の収益を目標に投資すれば、10年後には、約776万円、25年後には約2,900万円になるだろう。
毎月いくら積立が可能か、まずは家計を把握する必要がある。そのうえで、どのくらいの利回りで積み立てると、25年後にいくらになるのかシミュレーションをしてみよう。
40代におすすめの投資スタイル
・老後に備えた長期投資(積立投資)
・シミュレーションして、具体的に目標を設定
50代のハイリスク投資は危険信号:低リスク商品に的を絞って
50代は資産運用の目的が老後へとシフトする時期だ。老後は介護費用や通院、入院費、家のリフォーム代などが必要となる。とはいっても、資金が足りないと不安になり、焦って、ハイリスクな投資をはじめるのはおすすめできない。
老後へ向けた資産形成は期間も限られており、安全性を意識した運用が求められる。定年までの時間もないため、投資で大きな失敗をするのは避けたいところだ。値動きの異なる複数の投資対象に分散して投資し、資産運用を安定させよう。
外貨MMFは、比較的リスクの低い投資信託として注目されている。外貨MMFとは、外貨で運用される投資信託のことだ。格付けの高い国債、社債で運用されるため、通貨の金利水準が運用に反映される。リスクはあるものの、少額からはじめられ、比較的利回りが高いことがメリットだ。
50代は老後に向けた投資のゴールを10年から15年に設定して、中長期投資をはじめるとよい。これまで築いてきた資産があれば、リスクの少ない大型株に投資しても、配当金などで利益が安定して得られる可能性がある。
50代におすすめの投資スタイル
・ゴールを10年から15年に設定し、中長期投資を行う
・資産があれば、高配当株で配当金を得る
・外貨MMFなど比較的リスクの低い投資信託を選ぶ
資産を減らさない60代の投資:資産価値の変動に注意
60代は積み立てている年金を切り崩す時期だ。これまで積み立ててきた投資信託や購入している株式を現金化する人も増える。しかしながら、生活のために貯金を切り崩しているだけでは、資産は減る一方だ。
暮らしに必要な資金と医療費などを確保したうえで、投資にまわせる資産があれば、積極的に活用したい。まずは、金融資産がどのくらいあるか把握し、どの程度の資金を投資にまわせるか整理してみよう。
もしもインフレになれば、お金の価値が減るリスクも視野に入れておくべきだ。日本は、2%のインフレ率を目標に金融政策を行っている。モノの価値が上がれば、これまでと同じ金額では、モノやサービスを購入できなくなり、お金の価値は下がる。つまり、利息のつかない銀行に預金してもお金の価値が下がる一方というわけだ。株、投資信託などお金以外の資産を持つことは、インフレ対策にも有効である。
基準価額の変動を一定に抑える運用で注目されているリスクコントロール型投資信託、投資後に市場の動向にあわせて投資先や投資分配の比率を調整するマルチ・アセット運用も検討したい。
超低金利の時代、これまでのように住宅ローンを退職金で返済する方法が正しいとは限らない。残った住宅ローンは無理に一括完済しようとせず、コツコツ返済しながらなるべく退職金を残し、運用したほうがよいという考えもある。
退職金など、まとまった資金がある人は、無理のない範囲でNISA口座も積極的に活用したい。NISA口座は、株式・投資信託などで得た利益に税金がかからないため節税になる。人生100年といわれる時代、60代ならまだあと40年近くは生きることになるだろう。短期投資で資産を増やしながら、長期投資をはじめても遅くはない。
60代におすすめの投資スタイル
・退職金は投資にまわして増やすことを検討
・お金の価値が下がる可能性もゼロではない
・NISA口座を活用し、短期投資で資産を守る工夫を
・資産に余力があれば、積立投資も検討