攻めのトレードより無駄な損失を回避することが重要
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
無駄な損失の回避
今回は、私がFXトレーディングで意識しているポイントをお話しさせて頂きます。私がもっとも重視するのは、損失の回避です。もう少し正確に言うと、「無駄な損失の回避」です。
FXでは事前に様々な準備をしていても、損失を生むことは起こります。これは仕方ありません。しかし無駄な損失はいけません。
攻めのトレードで利益の拡大を追求するより、無駄な失点を抑えて収益を確保していくことを重視しています。
とても保守的に思われるでしょうが、なんでも積極的に攻めればいい、というのは無謀というものです。特にFXは簡単に損をしてしまいます。だからこそ損失をできるだけ小さくすることが収益の拡大には重要だと考えているわけです。
私は学生時代からずっとテニスをしていますが、下手な人は自分の未熟さや欠点を知らず、無謀で自己中心的な攻めをして自滅するか、基本的な守りができずに負けていきます。
しかし体力的技術的に向上しなくても、戦略を改善するだけで結果はずっとよくなったりします。つまり自滅失点が減るわけです。これはFXでもスポーツでも同じだと思っています。
初心者や素人こそ、早い段階で損失を回避する方法を知ることが重要だと考えています。金融市場で勝負すべきチャンスは、そんなに頻繁にはありません。だからこそ、普段のトレーディングでは無理をせず小さくコツコツ稼ぐことが大切で、そうして大きくした資金を「ここぞ」というところでブチ込むことで資金をより大きくすることができます。
トレーディングは、派手ではなく実は地味な作業の繰り返しなのだと思っています。
損失を減らすためにすべきこと
投資資金は有限です。いくら損をしても資金を補充し続けられる人はいないはずです。だからまず損失を抑え当初の資金を大きく減らさないことが重要なのです。
FX取引で利益を得るためには相場の方向性を読み、エントリーのタイミングをはからなければなりません。何かをちょっとでも見落とすと、見事なほど簡単に損をします。「儲けたい」、「取引したい」という欲求を抑えて、取引条件を確かめることで無駄な取引を減らし、損失を減らすことが大事だと思っています。
損失を減らすためには、自分の取引条件、自分のスタイルが重要になります。自分流の根拠のある取引が重要で、エントリーとストップ(損切)は自分の決めたルールに従うことになり、他人に説明できる合理性が必要だと思っています。
なぜ理由が重要かと言うと、私は自分の相場観(勘?)というものを信用していないからです。自分の考えた相場観は、無意識に感情や思惑でバイアスがかかっています。自分の心が常に平静だという人は修行した僧侶でもなかなかいないものです。だから、自分の無意識の感情で失敗します。
なので、自分の感情と関係のない客観的な材料に従うべきだと思っています。誰でも未来がどう動くかなんてわかるはずもありません。予想や相場観は結局自分の感情であり、欲や恐怖が織り込まれます。これが間違いの元だと思っているわけで、だから値動きに従うことにしています。
流動性がある通貨で取引する理由
これまでで、相場で利益を得るためには「未来を自分で予想する」のではなく、「多数派の動きに従う」、というのが私の考え方をご案内しました。そのためにチャートをみて値動きから売り手と買い手のどちらが多数派なのかを分析します。
ただ、これにも欠点があります。チャート分析が機能するためには、一定以上の市場流動性が必要です。
相場は売り買い双方があるから値が付きますし、値動きが起こります。しかし流動性の低い通貨ペアは売り手や買い手が少ないため、大玉で仕掛けられたり、急激な偏った動きになったり、理論を外れる動きになる場合が起こりやすくなります。また時間軸が短い場合も同様に、流動性が低くなります。
FX取引はレバレッジを使えます。またそもそも金融取引は、人間が労働するわけではないのでロットを増やすことができます。流動性に懸念があるような通貨ペアなど、多くに手数を出すより、信頼性が高く、確率の高いものに賭ける方が効率的だと、私は考えています。
私は一般に流動性があるドル、ユーロ、円、ポンドの主要通貨と、豪ドルとスイスフランぐらいを取引していて、リラ、ランド、人民元などはチャートを見たこともありません。
また値動きに従うということは、自分だけでなく他人の相場観や、ファンダメンタルズに影響されてはいけない、ということです。
ファンダメンタルズにしろ、値動きやテクニカルを使うにしろ、いずれにしても、どこかで腹をくくることが必要なのかもしれません。
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