自分の取引データを集めることが重要である理由
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
レバレッジを有効活用するために必要なこと
FXだけでなく一般社会を含めて考えても、私たちが収入を増やす方法は2通りです。1つは労働時間を増やすこと、そしてもう一つは時間単価を上げることです。
FXで自分の取引スタイルが定まらない状態は、自分の仕事に専門性がないのと同じです。あらゆる相場に手を出して利益を得ようと考えます。つまり労働時間を増やして収益を得ようという考え方です。
しかし、FXは誰でもレバレッジが使えます。確率の高いトレードができれば、そこで取引数量を増やし、単価を上げるだけで手元に残る収益を増やすことができます。
私はこうした考え方なので、取引の確率を重視した自分のスタイルの確立をお勧めしています。一定の確率で儲かることが分かっていれば、あとは資金量に応じて徐々に取引数量を増やすだけです。
収益が増え、FXの資金が増えれば、さらに取引数量を増やすことができ、加速度的に収益を拡大することができます。
ただ、そのためには、自分の取引の確率を把握しなければなりません。相場状況は社会状況や時間と共に大きく変化するので、短期間のデータでは意味がありません。
サンプルデータは多い方が判断の信頼性が高まるものです。いわゆる大数の法則です。だから、小さなロットサイズに固定して、1年ぐらいかけてデータを集める必要があるのです。大きな変動の中でも通用する自分のスタイルが見つかれば、あとは資金管理だけです。
まずはガマンしてロット調節をせずに、自分の取引データを集めることが重要なのです。
トレードノートをつけよう
FXを始めると「トレードノートをつけよう」と書かれているものを目にすると思います。私はトレードノートには2種類あると考えています。
1つは自分の取引ルールを記したルール・ブック。そしてもうひとつが取引の記録でトレード・ログとも言われるものです。
私の経験からすると、ルール・ブックは当初考えた以上に重要でした。自分なりの取引ルールを作っても、最初はなかなか覚えられませんでした。
当時は年間収益が黒字化していない素人でしたし、テクニカルも表面的に使うだけ。今思えばFXやマーケットのことをほとんど理解していなかったのです。
FXを始めると、自分に合った取引方法を探す中で、誰もがいろいろなやり方を試すでしょう。このとき、その取引ルールをキッチリ決めておかないと、判断に迷う場面がでてきます。すると、その場の自分の感情や思い込みで取引することになりがちです。
こうなると最悪で、結局は思いつきの取引をすることになってしまいます。こうしたミスを減らすために、私はルールを定型化、明文化し、取引ルールを箇条書きにしました。
①どの時間軸で
②どのテクニカルが
③どのような状態になったら
④どこに損切をおき
⑤利確目標をどこにして、エントリーするのか
ということを書き出しておきます。
これはエントリーを考える時のチェックリストになります。また自分なりの取引方法を考えても、最初は何かのサインを見落としてエントリーしてしまいがちです。少なくとも私はそうでした。エントリー前のチェックリストを作ることで、見落としを防止することができます。
また取引ルールを記録しておくと、FXの成長過程でいくつものルールを考えた結果、自分がどのようなテクニカルを好んだり、なにを基準に相場を考えているのかが見えてきます。FXトレーダーとしての自分の特性を知る意味で効果的だと思います。
ただ、こうした複雑なテクニカルの組み合わせより、拙著にあるダウ理論を理解する方がずっとシンプルです。そして、シンプルなものの上に、テクニカルを乗せる方が、効果的だと思っています。
損失を恐れて複雑な組み合わせにするより、まずはシンプルに値動きがどういうものかを理解することが一番だと思います。