初心者にはロット数の調節は「諸刃の剣」
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
FXの都市伝説
FXの都市伝説的なものが、勝った時はロットが小さく、負ける時はロットが大きく多額の損をする、というものではないでしょうか。私も初心者の頃にそう思いましたし、今まさにそう感じる方はいらっしゃるでしょう。
取引数量(ロット)を上手く調節出来ると、収益を効率的に増やす事ができます。著名トレーダーは誰もがやっていそうですが、実はこれが簡単ではありません。
取引ロットの調節は、自分の取引スタイルが確立している上で、さらに資金管理や相場情報など、相場の様々な要因を知った上で可能となる技術です。
テニスでもゴルフでも、プロの技を見ていると誰でもすぐにできそうに思いますが、現実はそう簡単ではないのと同じです。
ロット数の調節は「諸刃の剣」なのです。 下手な人は資金を急速に失う危険性があります。つまり都市伝説を感じている方は、このまま放置すると、資金が枯渇してマーケットから強制退場することになりかねません。
FXの上達にはロット数を固定して検証
私が著書「臆病な人でも勝てるFX入門」でご提案しているのが、
「ロット数を変えない」
「いつも同じ取引サイズにする」
ということです。
FXの上達は、まず単純で簡単なことをしっかり身に着けることが一番重要です。最初から複雑なことをする必要はありませんし、できません。
特に自分の取引スタイルが確立していない人、自分の取引の勝率や負け率をすぐに言えない人は、ロット数を調節する段階にはないでしょう。
このような方は、資金が10万円なら1000通貨、100万円なら1万通貨で取引して資金を大きく失わないようにしながら、自分のスタイルを確立するのが最優先です。買い増しや売り増しのロット数調節はしません。
もちろん「含み損になったからナンピン」なんてことをしてはいけません。また同時に2つ以上のポジションも持ちません。1回1回の取引に集中して、エントリーとエグジットのタイミングやルールを探す、これに尽きます。
こうすることで、自分の取引方法が本当に優位性があるのかが見えてきます。 取引スタイルを安定させることは、トレーディングする上で最も優先されるべきことです。
自分の取引がどうなのか、冷静に判断するためにも、ロット数を固定して検証してみるのがいいのではないでしょうか。自分のスタイルが確立するまでは、ロット数を同じにしてデータを集積するということです。
こうした方法をお伝えすると、必ず「それじゃぁ、収益が減ってしまう」とか、「ドキドキしなくてつまらない」という方がいらっしゃいます。
そう感じた方は、要注意です。こうした考え方は「欲」が先行してリスクを取りすぎる傾向があるからです。
利益を安定的に積み上げるには
FX取引はギャンブルとは違います。 相場で安定的に利益を積み上げて行くためには、自分に合った適切なリスクで取引し、過大なリスクは避けなければなりません。
しかし、リスクを取りすぎる方はこれが出来ずに資金を失ってしまいがちです。 時には運良く過大なリスクで大きな収益を得ることもあるかもしれません。
でもそれは実力ではなく「運」なので、いずれ破綻するときがきます。 相場では派手に稼いでいた人が、消えてしまうことが起こるのです。
いずれにせよ、わからないときにリスクを大きくするのは危険で、ギャンブルです。 FXで一発勝負しても利益はたかが知れています。
重要なのは、コンスタントに利益を積み上げる方法を確立することだと思います。