FXの必要経費とは?知っておきたい税金に関する疑問をまとめて解説!
今回は、FXで計上できる必要経費、e-Taxを使った確定申告の方法、公務員や学生が確定申告する場合の注意点、申告や納税を怠った場合のペナルティなどをまとめました。申告や納税をスムーズに行うためにもぜひ参考にしてください。
★今回のポイント!
- FXで計上できる必要経費とは何か
- e-Taxで確定申告する方法
- 公務員・学生の確定申告
- 申告を怠った場合どうなるか
FXで必要経費として計上できる費用とは?
FXで収益を上げるために使ったお金は必要経費として計上できます。ここでは、必要経費として計上できる可能性がある項目をまとめました。また、同じ項目でも計上できる場合と計上できない場合があります。経費を計上する際の注意点もおさえておきましょう。
FXで必要経費になるもの
FXで必要経費として認められる可能性があるものは次のとおりです。
電話代、インターネット代
実際にトレードで使ったネット代は経費として認められます。FX会社に問い合わせしたときの電話代やFXに関する書類の郵送費も経費になります。
新聞、書籍
FXに関する知識を深めるための書籍や為替専門の新聞、日本経済新聞や有料会員向けの為替ニュースなどの費用は経費になります。
筆記用具
FXを記録するノートや筆記用具、FXの情報を印刷するための用紙やプリンターは経費になります。
セミナー費用、交通費
有料のFXセミナーやFX勉強会、コンサルタント、そのときに必要になった交通費は経費になります。
宿泊費
FXセミナーやFX勉強会に出席する際の宿泊費は経費になります。
交際費
セミナーの懇親会は経費になります。ただし、FXに詳しい知り合いや友人との食事会は経費にはなりません。
家賃・光熱費
FX専用の事務所、あるいは部屋の家賃と光熱費は経費として認められます。
借金の利息
金融機関からお金を借りて、FXの証拠金に使った場合の利息は経費になります。
取引手数料
FXトレードで必要な手数料は経費になります。ただし、スプレッドは経費にはなりません。
ソフト、レンタルサーバー
自動売買で必要なソフトや自動売買を24時間稼働させるためのレンタルサーバーも経費です。
パソコン
FX専用のパソコンを専用の事務所(部屋)におき、プライベート用のパソコンを別々に用意し分けて管理すれば、パソコンの購入費も計上可能です。
FXで経費を計上する際の注意点
例えば、同じ電話代でも友人との会話は認められませんが、FX会社への問い合わせの電話代は経費として認められます。つまり、プライベートとFX関連に使用するものを分けて管理しておくことが重要です。
また、セミナーの支出であれば、どのような内容だったのか、案内メールや資料を保管します。書籍であれば、本の題名などをメモしておくとよいでしょう。
パソコンをFXでもプライベートでも使っている場合は、そのパソコン代金の全額分は経費として計上できません。ただし、そのパソコンを使ってFXの利益を得ていることが証明できれば、按分して計上することは可能です。
経費として計上する場合は、FXに関連した支出であることを証明できるようにしておきましょう。
FXの確定申告にもe-Taxが利用できる?
確定申告をオンラインでできるサービス「e-Tax」は、FXの確定申告にも利用できます。FXの確定申告でe-Taxを使うメリットやデメリット、確定申告の手順についてまとめました。
e-Taxのメリット・デメリット
まず、e-Taxのメリットとデメリットについて解説します。
メリット
e-Taxのメリットは以下のとおりです。
- 自分のパソコンやスマホから確定申告ができる
- オンラインで24時間、確定申告書を提出できる
- 自動で計算されるので、計算ミスを防止できる
確定申告期間は、確定申告の会場や税務署が混雑するため、長時間の待ち時間が発生します。e-Taxであれば、自宅のパソコンあるいはスマホから時間や場所を問わず、いつでも好きなときに確定申告可能です。基本的に数字は自分で入力しますが、計算が必要な個所は自動で計算されるため計算ミスが防げます。
デメリット
続いて、デメリットについて解説します。
- パソコンやインターネットを準備する必要がある
- 使えるOSやブラウザが限られる
- マイナンバー方式ではマイナンバーとカードリーダーの準備、ID・パスワード方式では事前の届け出が必要
e-Taxの利用にあたり、事前準備が必要です。パソコンは、e-Taxに対応しているOSやブラウザが以下の表のように決まっています。
(※画像:1 システム利用のための環境等|国税庁)
また、e-Taxの申告にはマイナンバー方式とID・パスワード方式の2パターンがあります。必要なものはそれぞれ異なります。
マイナンバー方式
パソコンの場合:マイナンバーカードとカードリーダー
スマホの場合:マイナンバーカードとマイナンバーカードの読み取りに対応した端末
ID・パスワード方式
ID・パスワードを利用する方法は2通りあります。
【税務署で行う場合】
運転免許書等本人確認書類を持参のうえ、税務署でID・パスワードを取得
【自宅のパソコンで行う場合】
マイナンバーカードとICカードリーダライタを用意して、ID・パスワードを取得
e-Taxで確定申告を行うための手順
続いて、確定申告の手順を説明します。
- 必要書類を準備する(本人確認資料、取引報告書、経費の領収書、源泉徴収票など)
- e-Taxソフトをダウンロードする
- 国税庁の「確定申告書作成コーナー」から画面に従って入力していく(FXの収入を申告する場合は「先物取引に係る雑所得等」へ取り引きの内訳を入力する)
- 提出方法の選択画面から「e-Taxで提出」を選択し、データを送信する
取引報告書や経費の領収書は金額がわかるものさえあればよいので、きちんとした書類を作成する必要はありません。申告書を作成する準備が整ったら、確定申告書作成コーナーの所得税を選び、すべての所得対応を選択しましょう。先物取引に係る雑所得等の入力を行い、申告書を送信します。
公務員がFXで収入を得た場合はどうなる?
給料収入のある公務員がFXで収入を得た場合に確定申告が必要なケースと注意点を解説します。
確定申告が必要なケース
確定申告が必要なケースは以下の通りです。
- FXの売買やスワップポイントで年間20万円を超える利益が出た場合
- 損失の繰越控除をしたい場合
FXの利益が20万円を超えると確定申告が必要です。逆に損失が出た場合は、申告の必要はありません。株式や投資信託との損益通算はできませんが、先物やオプション取引などとの損益通算は可能です。損失の繰越控除を行い、節税したい場合は、確定申告を行うとよいでしょう。
公務員がFX取引をする場合の注意点
公務員の場合、副業は禁止されています。FX取引をする場合も本業に支障をきたすことがないように注意しましょう。
FXの利益が年間で20万円以下の場合、確定申告は不要ですが、住民税の申告は必要です。住民税の納税方式のうち、普通徴収は、税金が自宅に送られてくる納付書を使って支払います。
特別徴収は、FXに関する税金が給料から天引きされるため、勤務先から説明を求められる可能性があります。公務員のFX取引が禁止されているわけではありませんが、あまり知られたくない場合は、普通徴収を選びましょう。
学生がFXで収入を得た場合も税金がかかる?
学生がFXで収入を得た場合、税金の支払いが必要になるケースと扶養から外れるケースの2点に注意が必要です。
税金の支払いが必要なケース
学生がFXで収入を得た場合、収入によって所得税、住民税の支払い義務が生じ、場合によっては確定申告が必要です。その基準は、他にアルバイトなどの収入があるかどうかによって異なります。
アルバイトなどの収入がある場合は、FXの所得とアルバイトの給料所得の合計が103万円を超えると確定申告と税金の支払いが必要になります。一方、FX以外の収入がない場合は、基礎控除の48万円を超える所得があった場合、確定申告と税金の支払いが必要です。いずれにしても住民税の申告は必要です。
※FXの所得とは、為替差益やスワップポイントで得た利益から必要経費を差し引いた残りです。
扶養から外れるケース
親の扶養に入っている場合、FXの収入によっては親の扶養から外れてしまう場合があります。所得税については、所得が103万円(給与控除55万円と基礎控除48万円の合計額)を超えた場合、親は扶養控除または特定扶養親族控除が受けられません。
一方学生は、要件を満たし申請すると「勤労学生控除」が受けられ、130万円まで所得税は免除されます。ただし、年間の所得が130万円を超えると、自分の収入から健康保険料を支払う必要が生じます。
FXの収入を申告せずに脱税するとどうなる?
FXの収入を申告しなかった場合、どうなるのでしょうか。わざわざ申告しなくても誰も気がつかないのではないかと思う人もいるかもしれません。申告しないとどうなるのか、なぜ申告の有無が税務署に伝わるのか説明します。
脱税がバレる理由
実は、トレーダーがFXで行った取引履歴は、FX会社から税務署へ報告されています。損しているか、利益を得ているのか、税務署は把握しているのです。
また、マイナンバーによってFXで得た利益は紐付けされているため、確定申告をしたかどうかもわかる仕組みになっています。実際に、FXの利益を申告せず、脱税の罪で告発されたトレーダーは存在します。
マイナンバーを調べれば、税務署は簡単にトレーダーの利益をすべて把握できます。仮に確定申告をしておらず、税務署から指摘を受けていなくても、脱税しているのであれば、告発は時間の問題です。速やかに確定申告を行いましょう。
FXで脱税した場合のペナルティ
FXで確定申告をしなかった場合、どうなるのでしょうか。FXで脱税した場合のペナルティについて解説します。
確定申告を怠った場合、通常の税金に加えて、以下の別の税が加算されます。
無申告加算税
納付すべき税額に対し50万円までは15%、50万円を超える部分は20%の税が課されます。ただし、税務署の調査を受ける前に期限後申告した場合は、5%に軽減されます。
延滞税
税金が定められた期限に納付されなかった場合、延滞税が自動的に課されます。納期限の翌日から2ヶ月を経過する日までは原則年7.3%、それ以降は、年14.6%です。
悪質な所得隠し
悪質だと判断された場合、別途40%の税が課されます。
FXで利益を得たら確定申告と納税が必要
FXで利益を得たら、金額によっては確定申告が必要になります。申告や納税を怠るとペナルティによってさらに別途税金が発生します。申告の必要がある場合は、早めに準備をして申告漏れのないように心がけましょう。