兼業トレーダーはいいとこ取りできる!?
アマチュアトレーダーに必要なこと
個人投資家でありながら、FX関連の書籍を多数出版している田向宏行が、10年以上前に自分がトレーディングを始めた頃に読んだら、参考になるだろうなというコラムをお届けしていきます。
まずは専業ではなく兼業トレーダーを目指そう
投資家、トレーダーという仕事は、誰にも干渉されず、誰にも媚びる必要のない仕事です。
私自身は、他人とコミュニケーションを取るのも好きですし、本を書いたりもするので読者の方とツイッターやブログで意見交換することもあります。ある時は、犬と散歩していたら突然、声をかけられたこともありました。
ただ、こうした他人との関係が煩わしい人もいます。
どんな会社や社会もすべてが順風満帆ということはありえません。それでも、仕事や究極的には経済的理由でその場から離れられない人がほとんどです。
起業して経営者になれば、取引先もいるし、従業員もいます。芸能人やタレントは、まさに人気商売で世間からの視線を意識しないわけには行きません。会社員や公務員でも同様で、同僚や取引先、顧客との関係性を維持する必要があります。
トレーダーはこうした人間関係の一切を排除することができます。その代わり、誰も助けてくれません。
景気が悪い時に親しい取引先が仕事を回してくれるとか、仕事仲間が自分の分の仕事を助けてくれるとか、そうしたサポートを期待することはできません。
自分のトレード方法が確立して、ある程度稼げるようになると、自分の自由な選択できる範囲が広がりますが、その一方で孤独でもあるわけです。
ただ、これは専業トレーダーの場合です。兼業であれば、もう少し「いいとこ取り」できるかもしれません。
トレードで収入を増やすことで、会社や取引先と対等な関係を維持できるかもしれませんし、我慢をしなくて済むかもしれません。
私が著書で「まず兼業でリターンを得る」ことをお勧めしているのは、まずは兼業という方法を取る方がリスクを抑えつつ、自分の自由を広げる可能性が高いと考えるからです。
投資を始める際には、最初から専業を考えるのではなく、まずは兼業で利益や資産を増やすことを考える方が、他人との関係に本当に悩む時に新たに踏み出す選択肢を増やすことになるのではないかと思っています。
投資は非常に孤独
投資でお金を儲ける行為は、とても孤独なものです。どこかに所属して働く労働行為は、たとえ最近はリモート勤務が増えたとはいえ、同僚や上司がいます。
フリーランスや個人事業主で、全て自分で行動し判断している人は、トレーダーと似た生活かもしれません。こうした個人で仕事をしている方はイヤでも理解しているかもしれませんが、「誰かが自分を儲けさせてくれることはありません」。これは拙著「投資の基本技術」でもお話の通りです。
相場では私より後から投資を始めてずっと儲けている人もいますし、逆に私が投資を始める前から相場にいて、でも私より収益が少ない人もいます。人それぞれですし、それでいいと思います。
取引方法も、自分とは全く違う視点の人もいるし、ほぼ同じことをしている人もいるでしょう。でも、自分と全く同じ取引をしている人は、いません。
人それぞれに取引タイミングが違うでしょうし、全く同じタイミングで取引することは考えられません。まして、いつも同じということはありえないことです。
このように冷静に考えると、誰かのコピートレードというものが成立しないことがわかります。だから、配信が遅いとかの文句を言う人は、その時点で相場で儲けられるはずがないのです。
誰かのトレードを参考にすることはできても、同時に同じことはできないわけです。結局、投資家やトレーダーは自分1人ですべてを判断しなくてはならず、冒頭のようにとても孤独な仕事と言えます。
もう年末年始休暇になろうとしていますが、こうした世間の喧騒の中で、フッと冷静に自分1人になる瞬間がずっと続いているのがトレーダーの世界なのです。
こうした孤独がイヤで誰かと話したい、誰かの意見を交わしたい、という人が取引をするなら、他人に流されないことが大事になってきます。他人が自分を儲けさせてくれることはないのですから、他人に依存して儲かるはずがないからです。
お正月休みの機会は、普段と違う状況だからこそ、自分を振り返るタイミングかもしれせん。
今年のコラムは今回で終了です。みなさま1年間お世話になりました。皆さんの今年の収益が素晴らしく、また来年もより良いトレードができることを祈念致します。