年始最初のドルの方向性

昨年、為替市場の焦点となった「日米の金融政策の格差の拡大」は一旦最大限の拡大をほぼ織り込み、そうした観点からすれば、USDJPYの上昇余地は限定的となる可能性はあります。
年始最初のドルの方向性を見極めるという点で、
(1)1/4 米12月ISM製造業景気指数
(2)1/4 FOMC議事要旨の公開
(3)1/6 米12月雇用統計の結果が重要でしょう。
(1)1/4 米12月ISM製造業景気指数
すでに発表済みに11月の結果は好不況の分かれ目である50を下回る49.0まで低下、コロナ後の景気回復は完全に失速、12月の数値も48.5と一段の低下が予想されています。
ISM指数は、聞き取り調査を主体とするいわばソフトデータの1つ、経済活動の実績値ではありませんから、経済指標のなかでは先行指標です。
先月の場合は、FRBパウエル議長の講演後で市場が弱気に傾くなか、ISM指数が下振れ、USDJPYが133円台半ばまでの崩落となるダメ押しとなりました。今月も要注目でしょう。
(2)1/4 FOMC議事要旨の公開
前回会合では「利上げペースを実際に減速」させ、利上げ幅をこれまで4会合連続となった75bp(0.75%)から50bpに落としました。
単なる過去の議論の公開ですが、どんな議論が裏でなされていたのかが判明するわけですが、過去、FOMC議事要旨の公開で市場が大きく変動したことは何度もあり、看過できません。
蛇足ですが、今年からFOMCで投票権を持つ地区連銀総裁4名が入れ替わりますが、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁を除けばハト派ばかり、FOMC内の勢力図に変化がみられます。
米国で昨年1年間で引き下げられた政策(FF)金利は4.25%、こうした金融引き締めは時間を置いてボディブローのように経済にブレーキをかけます。
FOMCの声明文では、これまでの利上げの累積効果を見極める時との文言が入っていますが、過熱した経済をある程度減速されるために利上げをしたわけで、その効果は自然に現れます。
(3)1/6 米12月雇用統計の結果
雇用関連の指標は、経済活動の実績値ですからこれはハードデータ、景気の遅行指標ですから、依然好景気であり、労働需給がひっ迫するなかでは、今回12月の結果も良くて当然。
市場予想通りであれば、金融引き締めの長期化観測から、金利は上昇から高止まり、為替市場ではドルが買い戻される展開を予想するのは難しくありません。
ただ、今年1年を見据えれば、NFP(非農業部門雇用者数)が前月比で減少したり、失業率が予想に反して急上昇する展開がどこかで訪れます。
展開としては、昨年11/10や12/13にCPI(消費者物価指数)が下振れ、ドルが大きく売られましたが、これに近い動き。今回の12月の雇用統計の結果がこうなるとは思いませんが、今年1年を通じてみれば、リスクシナリオの1つであることに間違いないでしょう。
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