急速なドル買いに戻るか?

昨日(11/11)の動きを振り返れば、東京時間は早朝より輸入企業などの実需筋、一部リスク許容度の高いミセスワタナベ(日本人の為替投資家の総称)からのドル買いが続きました。
ただ、その勢いはUSDJPYでみれば142.48の高値が精一杯、欧米時間にかけては大きな反落となる4円の下落、昨日安値138.47まで崩落しています。
こうしたドル売りの流れは対円だけではなく、主要通貨にも及び、EURUSDで昨日高値1.0364、GBPUSDでも同高値1.1854を示現しています。
ストーリーを整理すれば、米10月のCPI(消費者物価指数)の結果が市場予想を下回り、利上げの織り込みが巻き戻され、結果、市場がみるターミナル・レート(注)も低下しました。
(注)金融引き締め、利上げの最終地点
今年の値動きを振り返れば、ほぼ同様の局面が1回あり、7/14の高値139.39から急速に値を下げ、8/2の安値130.41まで8円98銭の下落を記録したときでした。
この時は、FOMC後のFRBパウエル議長の会見で「利上げペースの減速の可能性が示唆」され、その後のGDPの結果が下振れ、利上げの急速な巻き戻しからドル売りが加速しました。
その後、米7月の雇用統計の良好な結果、連銀総裁やFOMCメンバーからの相次ぐ過度な利上げ減速へのけん制発言から急速にこの動きの修正が入り、ドルは反転上昇に向かいました。
今週のCPI発表後の動きはこれとほぼ酷似、昨日1日では利上げの織り込みの縮小や金利の低下はわずかで、ここまでのドル売りを説明できません。前回の7月下旬の動きをはるかに上回る震度で、来週前半にも135円を割れそうな勢い、流れからもそうなる可能性は十分あります。
ただ、一旦冷静になってみます。たった1回のCPIの下振れやピークアウトがトレンドとして継続するか?この先、常に市場予想を下回る結果が毎月続くのでしょうか?
その結果、先週のFOMC後にかけて大きく織り込んだこの先(特に2023年前半)の利上げの織り込みを全て解消に向かい、ターミナル・レートは4%の後半で着地するのでしょうか?
答えは全て『ノー』でしょう。
今は、おそらく修正や大幅調整の時期、USDJPYで130円に近づく展開等は排除しませんが、インフレとの闘いに幕が下りたわけではなく、いずれまた急速なドル買いに戻ると思います。
今までの利上げ幅での金融引き締めが続わけはないのですが、それがターミナル・レートの低下に直結するわけもないでしょう。
来週は多くの地区連銀総裁やFOMCメンバーも講演等がセットされていますので、そこから解を探ることになりそうです。
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